大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
QualcommのDragonfly C1000を読み解く 「苦手な戦場」で勝負できるのか(1/4 ページ)
2026年6月、QualcommがAIデータセンター用CPU「Dragonfly C1000」を発表した。採用しているコアは独自の「Qualcomm Oryon」だ。今回は、Oryonの中身を読み解きながら、その競争力について考えてみたい。
先月の「いくら何でも脇が甘い! AIサーバ密輸疑惑に見るSupermicroの「やらかし体質」」でSuper Microのお話をご紹介したのだが、6月に入ってまたもや発覚したことが7月1日に明らかになった(参考)。何かもう、1周回って「さすが……!」という感じすらするのだが、その話は措いておくとして。
ことし(2026年)3月にArmがIP(Intellectual Property)ではなくチップとしてAGI CPUを発表した話はMONOistの記事で触れたが、これを後追いするかのように6月25日、QualcommがAIデータセンター用CPUとして「Dragonfly C1000」を発表した(図1)。
特徴として
- ベースとなるのは同社のOryonコアで、5GHz以上で駆動され、250コア以上をChipletの形で集積
- 外部I/FとしてはPCIe Gen7を搭載し、2TB/sec以上の帯域を確保。更にCXLもサポートしている
- メモリに関してはオプションでHBC(High Bandwidth Compute)なる独自のLPDDR5xを積層した構成(図2)を利用可能で、これにより広帯域で接続できると説明されている。ちなみにこのHBCは単にDragonfly C1000だけでなく、同社のAI AcceleratorであるQualcomm AI200/AI250/AI300でも利用可能とされる。ただC1000に関して言えば複数のMemory Optionがあり、現場で交換可能なメモリ(Registered DDR5/MRDIMM、ないしSOCAMM2を指していると思われる)も利用可能とされる
- 空冷及び液冷に対応
といった事が挙げられている。
Nuvia買収で入手したOryonコア
実はこのOryonコアに関してはもう少し詳細が2024年のHot Chipsで紹介されているので、こちらを紹介したい。OryonコアそのものはNuviaが開発していたものであり、Qualcommは2021年にNuviaを買収してこれを自社の新CPUコアの礎とした。このOryon、ライセンスを巡って2024年には訴訟騒ぎになった話は以前に「Arm対Qualcomm 泥沼化した特許係争はどう着地するのか」で触れたが、2025年10月にデラウェア州連邦地方裁判所は、Armによる訴訟は陪審員の満場一致で却下された。また裁判所はArmによる新たな裁判の請求も棄却しており、これでArmによる訴えは完全に敗訴した。これを受けてQualcommは大手を振ってOryon CPUコアを販売できるようになっている。余談だが、この判決はあくまでArmがQualcommを訴えた訴訟に関するものであり、QualcommがArmを反訴した件に関しては現在もまだ審議中だったりする。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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