大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
いくら何でも脇が甘い! AIサーバ密輸疑惑に見るSupermicroの「やらかし体質」(3/3 ページ)
実は過去にも「前科」が
問題はこの“やらかし”、これが最初ではない事だ。米国証券取引委員会(SEC)の調査により、2015年度~2017年度のSMCIの会計に、広範な会計違反があったことが認定された。
具体的には
- 売上高の不適切な前倒し計上:期末の売り上げ目標達成のため、出荷が完了していない、もしくは顧客が受け入れ準備を整えていない段階で売り上げを計上していた
- 不完全な出荷やチャネル詰込み:不完全な状態の製品を出荷、あるいは期末に販売代理店に過剰に製品を押し込むChannel Stuffingを行い、売上高を水増しした
- 費用の過小計上:マーケティングプログラムにかかる未払負債を不適切に減額、クリスマスギフトの購入費用や商品の保管コストなど本来計上すべきさまざまな費用を隠蔽、過小計上した
といった項目が指摘され、総額2億米ドル以上の売上高が不適切に作られ、売上高、利益および、粗利益率が意図的に膨らまされていたとされる。
これらの不正を調査して財務諸表を修正するため、同社は2018年度のForm 10-Kを期限内に提出できず、結果としてSMCIは2018年に一度NASDAQの上場が廃止。同社株はPink Sheets(米OTC Markets Groupが運営する店頭市場。NYSEやNASDAQなどの主要取引所に上場していない/できない非上場企業の株式取引に使われる市場)に移行する。
2020年に同社は財務諸表の書き換え(過年度修正)を行い、NASDAQに復帰する。また同年8月20日にSMCIはSECに17万5000米ドルの民事罰金の支払いが命じられ、同時に当時CFOだったHoward Hideshima氏には26万844米ドルの不当利益返還、4万212米ドルの判決前利息および、5万米ドルの民事罰金の支払いが命じられた。これに加え、CEOであったLiang氏にも、SOX法のクローバック条項に基づき、会計ミスの期間に得た株式売却益などを含む212万2000ドルを会社に返還している。
筆者からするとこの2015年~2017年の出来事がまだ記憶に残っていただけに、2024年の監査法人辞任の騒ぎは「またか」と感じられたし、2026年に入っての密輸騒ぎを見ると「根本的に脇が甘い」と言わざるを得ない。
もう立派な「大企業」なのに……
SMCIは、企業としてはもう大企業に属する。2026年第3四半期(2026年1月1日~3月31日)の売上高は102億4301.4万米ドル、営業利益は6億2586.8万米ドルに達している。ちなみに2025年の同時期は売上45億9991.3万米ドル、営業利益1億4678万米ドルなので、この1年で売上倍増、営業利益は4倍増になっているのだが、“超大もうけしている中小企業”という感じがいまだに否めない。大企業に見合うだけの組織や管理体制が無いと、また似たような事件が起こりそうな気がするのがちょっと心配である。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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