大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
IntelとSambaNova、提携の行く末――「最もあり得るシナリオ」は?(3/3 ページ)
最もあり得るシナリオは?
ただ正直言えば、筆者はここまで踏み込まないだろうと考えている。というのは、この同じ基板上の混載は既にNVIDIAで同種の話をしているからだ。「Intel「迷走の構図」 NVIDIAとの協業にも浮かぶ疑問符」の(1)で説明した話である。同一の基板上にXeonとSN60(なのかSN70なのか)を搭載する、というのはどう考えてもこのNVIDIAの協業と思いっきりぶつかる事になる。実際Intelのリリースにも"the combination of Intel CPUs and SambaNova's AI platform can provide a compelling rack-level inference option as Intel's GPU-based solutions come online."(IntelのCPUとSambaNovaのAI Platformの組み合わせは、IntelのGPUベースSolutionが展開される中で、魅力的なRack Levelの推論オプションを提供する)という書き方をしており、あくまでラックレベルでの混載しか考えていないように読める。
Intelの方はもう一つ課題がある。ソフトウェアの互換性の問題だ。鳴り物入りで始まったoneAPIというかoneDNNは、結局Habana Labsのフレームワーク(Synapse AI)との統合が出来ないままである。なので今後、Gaudi 1/2/3用のアプリケーションは「Jaguar Shores」(「Falcon Shores」の後継製品:Falcon Shoresは開発用プラットフォームとしてのみリリースし、製品化しないことが2025年1月に発表された)に向けてソフトウェアの移行作業が必要になる訳だが、ここでSambaNovaまで持ってくるとなると、話がさらに混乱することになる。そうでなくても、NVIDIAとの協業の話が出たことで、今後はGaudi向けアプリケーションのNVIDIA GPUへの移行(それがCUDAベースなのかCUDA Tileベースなのかはともかくとして)が少なからず発生すると思われるが、そこに新たにSambaNovaへの移行パスまで示したら、エンドユーザーの混乱を招くだけだろうし、移行ツールを開発する部隊は悲惨な事になりそうだ。
一番ありそうなシナリオは、GaudiからSambaNovaへの移行ツールを、SambaNovaが提供する(そのツールの構築を、陰からIntelが協力する)事だ。要するに顧客から見れば、Gaudiからの移行先としてこれまではJagure ShoresとNVIDIAという2つの選択肢があり、そこに今回SambaNovaという新しい選択肢が加わった形になる。それぞれへの移行ツールはそれぞれの会社が提供する、という形にするのが一番混乱が少なく妥当なシナリオだと思われる(今のところNVIDIAはGaudiからの移行ツールは提供していないが、2025年10月の提携に伴い水面下で何かしらの準備がなされていても不思議ではない)。
Intelのリリースの中には"This collaboration complements Intel’s existing data center GPU commitments and does not alter its path forward to competing in AI."(この協業は、Intelの既存のData Center GPUへの取り組みを補完するものであり、AI分野での競争に向けた道筋を変えるものではない)という文言もあり、少なくともJagure ShoresをSambaNovaで置き換えるつもりはない事が伺い知れる。何というか、AMDのような強力なソリューションが提供できない中で、最大限可能なソリューションを用意した、という感じに読み取れるというのが筆者の率直な感想である。
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