大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
IntelとSambaNova、提携の行く末――「最もあり得るシナリオ」は?(1/3 ページ)
Intelが、米SambaNova Systemsとの提携を発表した。買収から一転、出資/提携へと転換したこの取引は、両社にとって幸運だったのではないか。今回の提携の行く末を考えてみたい。
筆者的にはTexas Instruments(TI)によるSilicon Labsの買収「TIがSilicon Labsを75億米ドルで買収する理由」もなかなかにインパクトがある話であったが、今月は水面下でいろいろ策動していた話の決着がついた方をご紹介したいと思う。
2026年2月24日、IntelはSambaNova Systems(以下、SambaNova)との間で複数年契約を結んだ事を発表した。Intelのリリースはあっさりしたもので、SambaNovaのリリースの方がもう少し詳しく説明をおこなっているので、以下はSambaNovaのリリースをベースにご紹介したい。
SambaNovaの製品の特徴は?
同日、SambaNovaは新しい「SN50」というAIプロセッサをリリースした(図1)。ちょっとこのSambaNovaのシリーズを簡単に説明しておこう。同社は2017年に創業し、2020年に最初の「SN10」をリリースする。Reconfigurable ProcessorにDataflowを組み合わせるというなかなかに意欲的な製品で、大容量SRAMに加え外部に大容量DDR4(1.5TB)を接続できるため、大規模言語モデル(LLM)でも性能が落ちにくいという特徴があった(といっても、SN10リリース当時はそこまでLLMが流行していなかったのでその特徴はあまり生かされなかったが)。
2021年には「SN20」がリリースされるが、これはSN10のマイナーバージョンアップといった扱いである。このSN20を2つ、1つのパッケージに収めたのが2022年に「SN30」で、これで演算性能が倍になった(が、消費電力も倍になった)。ここまでは全部TSMC N7での製造だったが、2023年に発表された「SN40L」はTSMC N5になると共に内部構造も変更、さらにHBM3を8つ搭載(合計64GB)搭載している。内部構造というのは、同社はPCU(Pattern Compute Unit)とPMU(Pattern Memory Unit)という2種類の要素から構成され、一般的に言えばPCUがPE(Processor Element)、PMUがLocal RAMというかScratchpad的なモノにあたるのだが、SN10~SN30まではこのPCUとPMUが同じようにMesh Networkにつながっていたのに対し、SN40LではPCUとPMUが一塊になり、この塊がMesh Networkにつながる格好に変更されている。またAI Processorでは珍しく、大容量SRAMとHBM3に加えて、引き続きDDR5メモリ(1.5TB)も接続可能で、なのでメモリだけで3階層構成を取る事ができるというものだった。
このDDR5を直接接続できる、というのが他のAI ProcessorやGPGPUに対する大きなアドバンテージであり、SN50についても(恐らくシミュレーションを基にした推定と思われるが)LocalのDDR5 Memoryを持たないGPUに比してはるかに高いスループットを長期間維持できる、としている(図2)。
もっとも、当初はAIのTrainingとInferenceの両方をターゲットにしていたはずの同社の製品だが、SN50は"Purpose-built for agentic inference"なんて紹介されている。もうTrainingよりInferenceの方が圧倒的にマーケットが大きい事が明確になったからだろう、と思う。まぁSN50そのものは今回の本題ではないのでこの程度にしておく。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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