大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
CPUを「3度」手放したImagination 背景にRISC-Vのレッドオーシャン化(3/3 ページ)
RISC-V市場の競争が激化
どうしてこんなことになったか? というのも何となく想像がつく。RISC-V IPベンダーの林立に伴う市場環境の激化である。ぱっと思い付くだけでもARC international、Andes Technology、Cadence、Codasip、Cortus、SiFive、Synopsys……とIPを提供している会社が山ほどある。他にも自社で開発を行っているルネサス エレクトロニクスとか、Bosch、Infineon Technology、Nordic Semiconductor、NXP Semiconductors、Qualcommに加えて2024年9月にはSTMicroelectronicsも参画したQuintaurisもある。おまけにかつては子会社だったMIPSは、MIPSアーキテクチャを捨ててRISC-V一本鎗になって市場に再参入してきた。これだけ競合が多い中では、RISC-Vというだけで顧客が付くほど甘くはない。まして昨今ではOut-of-Orderの高性能RISC-Vの発表も相次いでいる。恐らくImagination内部では、図5に出てきた"64bit Out-of-Order"コアの開発をそのまま進めて、本当に顧客が付いて投資が回収できるか、というシミュレーションをいろいろ繰り返し、最終的に「無理」という結論が出たのではないかと思う。自社製品利用にとどめるのであれば、これまでの投資は無駄にならないし、今後のサポートなどの費用は最小限に抑えられる。AI向けのサポートプロセッサ程度なら、Out-of-Orderの高性能コアは不要であり、In-Orderのマルチコアで十分対応できる。そういう経営判断が下された、と考えれば今回の静かなフェーズアウトにも理解できる。もし既存顧客が望めばCatapult IPの提供は今後も可能だが、新規顧客を積極的に獲得してもペイしないので、看板そのものは降ろす。なじみのレストランの「本日の隠れメニュー」みたいな感じだろう。
要するにいつの間にか、RISC-V CPU IPのマーケットはレッドオーシャンになってしまったという話だ。そのマーケットに向けてImaginationの判断は現実的だった、といえるかどうかはまだ分からない。
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大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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