大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Intelを待つ「いばらの道」 困難を極める根本的な改革(3/3 ページ)
膿出しは「未完了」
まぁ過ぎてしまった事はどうしようもない。では今後のIntelはどうなるか?である。ではGelsinger氏は最悪の期間の膿出しを完了したのか?といえば、まだ未了と筆者は考える。プロセス周りは一応Intel 18Aが多少なりとも期待できる「かもしれない」という状況にあるし、その先のIntel 16Aに向けて高開口数(NA)極端紫外線(EUV)露光装置の導入も済んでいる。一方で製品ラインの方がまだ混乱状況から脱していない。特にData Center and AI Group(DCAI)での売り上げの低迷と利益率の激減ぶりを見ると、これを何とかしないことには苦境から脱することは難しいだろう。問題はそれを実現するために、どの程度の期間が掛かるかである。「暫定CEOが示唆した「Intelの今後」」からも分かるように、まだIntelは「何を顧客に提供すれば優れた製品と認めてもらえるか」に関する解を持ち合わせていない。恐らくこれは暫定CEOであるMJ Holthaus氏だけで解決する問題ではなく、正式なCEOが就任し、その新CEOが新たな戦略を立てるまでの間は留保されることになるだろう。それまでの間は基本Gelsinger氏の立てた戦略の延長で、現在の製品ラインの改良にとどまる事になるが、そのGelsinger氏の戦略は?というとこれは膿出しの延長でしかない。
一般にCPUのProduct Pipeline(企画→基本設計→詳細設計→製造→検証→出荷)には5~6年を要する。それは企画とか基本設計の段階で膨大なシミュレーションを行って基本設計の検証とか、場合によっては製品企画の見直しなどを行う必要があるからだ。AMDが「Zen」コアベースの製品を出荷するまで6年かかったのは、基本設計から見直しを行ったためである。もちろん、既存のアーキテクチャの部分的な改良であれば、この基本設計を大幅に節約できるため、早いものなら2年とかで出荷できる。現在のIntelの製品ロードマップはこの部分的改良の延長線上でしかない。もしGelsinger氏が製品企画から新たにやり直すプロジェクトを立ち上げているのであれば、2026年くらいにはもっと革新的な製品が市場投入される可能性はある。問題はそれが無かった場合で、Holthaus氏がそうしたものを手掛ける可能性は現実問題として低いだろう(そもそも暫定CEOでしか無い訳で、変なプロジェクトを立ち上げたとかいって取締役会ににらまれるようなマネはしたくないだろう)
ということは、次のCEOが見つかるまでそうした根本的な改革はお預けであり、仮に明日新CEOが決まったとしても、それが世の中に出るのは2030年とかになりかねない。そこまでIntelが持ちこたえられるのか、筆者は非常に疑問である。そもそもGelsinger氏が就任するまで3年かかった事を考えると、次のCEOが見つかるまでも結構かかりそうだ。まだまだIntelには、いばらの道が続いているとしか思えない。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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