大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
弱小メーカーの域を出られなかったFlex Logix ADIが密やかに買収(3/3 ページ)
弱小メーカーの域を出られなかったFlex Logix
結果から言えば、この遅れがビジネスにどの程度影響があったのかは正直よく分からない。とはいえ、同様に低消費電力・高効率・低コストの推論向けアクセラレーターを提供しているKinara(旧称Deep Vision)とかEdgeCortixなどがまだ製品を出荷しているのに対し、Flex Logixは思ったように顧客を獲得する事ができなかったのは事実であり、結果として2023年5月に同社はInferX X1の販売を停止する。その代わりにInferX X1をIPとして販売するというビジネスに切り替えることになった。これがどの程度販売されたのかは分からない。
InferXはともかくとして、同社のeFPGA IPはそれなりに売れた。2021年12月の記事「「FPGAの闇落ち」とルネサスのFPGA参入に思うこと」で、ルネサス エレクトロニクスの「Forge FPGA」の話をご紹介したが、そもそもDialog SemiconductorはFlex LogixからeFPGA IPのライセンスを受けてForge FPGAを開発しており、それもあってルネサスもFlex Logicからライセンスを受けてForge FPGAを販売している。ちょっと古い数字だが、2022年には合計で32種類以上のASIC/SoCが同社のeFPGA IPを組み込んでいることを明らかにしている。
2022年、米国EETimesのDesignLinesにTate氏が寄せた記事では、2020年代のうちにDiscrete FPGAとして出荷される総LUT数より、ASIC/SoCに搭載されるeFPGAの総LUT数の方が上回る、というものすごい強気な見通しを示しているが、2年後の現時点でもそうした動きはまだ見えていない。もっともこれ、例えばAMDのZynqシリーズやVersalシリーズ、AlteraのAgilex SoC FPGA、MicrochipのPolarFire SoC FPGAなども「ASIC/SoCに搭載されるeFPGA」に入ると勘定すれば確かにその可能性はあるのだが、Tate氏が言っているのはこうしたFPGAメーカーが出すSoC FPGA「以外」のLUTの総数が超える、という見通しだから、残念ながら当てはまっているとは言い難いように思う。
逆に言えば、Tate氏が想像していた、こういうASIC/SoC向けeFPGAのマーケットを、先にFPGAメーカーが奪ってしまったというべきか。こうした状況もあってか、Flex Logixは残念ながら弱小メーカーの域を脱する事ができなかった。状況的にはMicrochipに買収されてしまったMicroSemiのように(いや、そのMicroSemiに買収されたActelという方が正確だろうか? それともLattice Semiconductorに買収されたSiliconBlueという方が近いだろうか?)なってしまったのも仕方ないのかもしれない。
さて、ADIはこのFlexLogixのテクノロジーと製品ラインを、どういう風に生かすつもりなのか、興味が尽きない。取りあえず2025年2月のConference Callが楽しみである。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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