大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Intelに追い打ちをかける「Raptor Lake」クラッシュ問題 根本原因はいまだ不明(4/4 ページ)
根本原因は解明されていない
問題は、いまだに根本原因が解明されていないことだ。eTVBのバグは確かに問題ではあるが、これだけではないというか、これが主要因ではないとIntelは判断している。つまり、eTVBのバグだけでは説明がつかない障害も発生しており、こちらの要因がまだ見つかっていないということだ。少なくともこの要因を突き止めて対策しないとRMAを掛けてもまた再発する事になるから、当然RMAを実施できるのは対策を行った製品の量産が始まってからという事になる。
2024年8月9日、Intelはまだ問題が出ていないプロセッサ向けの予防措置として1.55V以上の電圧を掛けないというファームウェア(0x129)をリリースする事を発表したが、まだ主要因そのものは特定されていない。という事はRMAは早くて10月以降、要因の特定が遅れたらさらに伸びる(最悪は年を越す)可能性もある。これはIntelのProduct Roadmapにかなり重大なインパクトを与えることになりそうだ。
もう一つ言えば、今回はIntel社内のValidationやQC(Quality Control)チームにとって重大な瑕疵(かし)になりえる話である。もともとRaptor Lake世代は第12世代のAlder Lakeから大きな変更がない製品で、それもあって開発期間が短縮できたなんて話が2022年に説明されたのだが、今回の話はこうした開発期間短縮が致命的な問題になり得ることを示している。
恐らく今後は製品投入にあたり、より入念なValidationがOEM/ODMから求められる事になるだろうし、これは製品投入ロードマップに思いっきり影響を及ぼすことになる。そうでなくても現在IntelはAMDとのギャップを埋めるべく、矢継ぎ早に新製品を投入しようとしている訳だから、Validation/QCチームの負荷はかなり高いところに来て、今回のこの騒ぎである。多分この問題が解決するまでValidation/QCチームはフル稼働しているだろうし、そうなるとまだ未投入のGranite RapidsベースのXeon 6とか年内といわれている(2025年に延びた、という話も聞くが)Arrow Lakeについても追加のValidationが発生する可能性もある(9月に出荷予定のLunar Lakeも怪しい)。まさに踏んだり蹴ったり、というところだろうか。
Intelとは対照的? “ほのぼのニュース感”も漂うAMDのミス
余談であるが、AMDも7月25日、Ryzen 9000シリーズの投入を1週間遅らせることをAMD SVP&GM, Computing & GraphicsのJack Huynh氏がXにPostする形で明らかにした。チャネルパートナーへの初期出荷ロットが品質基準を満たしていないために製品を更新するから、というのがその理由であるのだが、ここまで説明してきたようにコアに問題があったりすると、その問題の特定や対策には数カ月を要する(実際Intelはもう問題の確認に4カ月を費やし、しかもまだ確認しきれていない)だけに、「たった1週間で解決できる問題って何?」と別の意味で話題になっていた。ただこの初期出荷ロットを入手したレビュアーのPostで、この疑問が解決した。要するに本来Ryzen "7" 9700Xとあるべきなのが、Ryzen "9" 9700Xと印刷されていたのだ。そらまぁ品質管理としては問題であり、印刷のやり直しに1週間程度の手間が掛かるのは仕方がない。ただIntelのあまりにシリアスな状況に比べると、AMDのこのミスはむしろほのぼのニュースとすら感じられるくらいにのどかな話である。なんかこれも現在のIntelとAMDの状況を反映しているような気がしてならない。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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