大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Intelの命運を託されたファウンドリー事業 24年Q1決算から読み解く(1/3 ページ)
2024年4月に、IntelとAMDの決算(2024年第1四半期)が相次いで発表され、両社とも発表後に株価が大幅に下落した。理由はなぜなのか。そして、Intelの“危うい”業績から見て取れるのは、Intelの今後の成長の鍵を握っているのはIntel Foundryだということだ。
Intel、AMDともに株価が下落
4月25日にIntelの2024年第1四半期決算が発表され、4月30日にはAMDの2024年第1四半期決算が発表された。Intelの株価は、決算発表直前の終値が$35.11だったのに、翌日には$31.88まで下がる騒ぎになっており、対するAMDも同じように決算発表直前が$158.38だったのが、翌日は$146.64まで下げている。要するに両社共に株主が期待するほどの決算報告ではなかった、という事ではあるのだが、その内容が大きく異なっているのが特徴だ。
まずIntelから。表1、表2は2023年第1四半期からの5四半期分について、セグメント別に売り上げと損益をまとめたものである。現在のIntelの稼ぎ頭は間違いなくCCG(Client Computing Group)であり、売り上げの4割、損益のほぼ全てをCCGが担っている格好だ。いつの間にかIntelはClient PC一本足打線の会社に変ぼうしてしまった事になる。CCGの営業利益率は、昨年(2023年)の第1四半期こそ20%と低いがその後は30%台に回復。ことし(2024年)第1四半期は35%まで復調しており、半導体企業としては堅調なビジネスと考えて良いと思う。
問題は、その他のビジネスである。DCAI(Data Center & AI)も一応黒字ではあるのだが、売り上げはCCGの半分以下の上、営業利益率は一番よかった2023年第4四半期で21%そこそこ、2024年第1四半期は16%弱まで低下しており、半導体ビジネスとしてはあまり健全な状況とはいえない。2017年、つまりAMDが「EPYC」でサーバビジネスに参入する前年のDCG(Data Center Group)の年間売上高は191億米ドル、営業利益は84億米ドルで、営業利益率は44%近かった。2023年にはこれがそれぞれ126.4億米ドル、16.2億米ドルであり、営業利益率は通期で12.8%ほど。厳密に言えば、2017年のDCGに相当するものは、DCAI+NEX(Network and Edge)になるので、これを加味すると売上高は184.1億米ドルほどになるが、営業利益は18.2億米ドルで営業利益率は10%まで落ちる。というか、NEXの分まで加味しても、Intelのサーバビジネスは停滞というか微妙に売り上げを減らし、かつそのビジネスを大幅に毀損していると言わざるを得ない状況になっており、これが改善する気配は少なくとも2024年第1四半期には見られない、という事になる。
「Xeon 6」にも懸念が
一応Intelの言い分としては、2024年第2四半期にはE-Coreベースの「Xeon 6(開発コード名:Sierra Forest)と「Gaudi 3」が投入、第3四半期にはP-CoreベースのXeon 6(Granite Rapids)が投入されることで、大きく売り上げを改善できる見込み(図1)との事だが、懸念事項がそこそこある。以下に挙げてみよう。
- Xeon 6では新しいプラットフォームが導入される。つまり既存のプラットフォームにCPUのUpgradeという方法が利用できない。このため、機器メーカーや顧客における検証に、相応の時間を要する事になる。このため、製品が発表されてもすぐに売り上げが立つとは考えにくく、仮に大きく動くとしても2024年末とか2025年度になりそうである
- 従来のXeonシリーズ製品の流れをくむ、P-CoreベースのXeon 6に関してはともかく、E-CoreベースのSierra ForestベースのXeon 6は、Xeonとしては初のスケールアウト向けというかCloud Workloadにある意味特化した構成になっており、既存のアプリケーションをそのまま使って素直に性能が出るケースは多くないと考えられる。これは顧客におけるワークロードの移行に時間を要する事になる。現実問題として、オンプレミスあるいはプライベートクラウドを利用している顧客にとっては、Granite RapidsベースのXeon 6が有力な移行対象になりえるため、Sierra ForestベースのXeon 6は当面そこまで急速に立ち上がらないものと思われる。クラウドプロバイダー向けについても、こちらはArmベースのサーバや、AMDの「Zen 4c」「Zen 5c」ベースの新製品との比較という形でトライアルが行われることになるので、Sierra ForestベースのXeon 6が直ちに大量導入されるという事態は考えにくい。結果から言えば、2024年中に大きな動きがあるとは考えにくく、何かしら動くとしても2025年以降になりそうだ
- Gaudi 3はNVIDIAの「H100」「H200」と比べて性能/価格比あるいは性能/消費電力比が良い事をアピールポイントにしているが、その一方で絶対性能的にはNVIDIAのH100あるいはAMDの「Instinct MI250X」相当であり、要するに前世代製品でしかない。NVIDIAの「B100」「B200」、あるいはAMDの「MI300X」とは比較にならない訳で、まずここが一つ目のネックとなる。もう一つ問題なのは、Gaudi 3の先がない事だ。IntelはGaudi 3の後継として「Falcon Shores」を投入する事をアナウンスしているが、このFalcon ShoresはGaudi系列とは全く異なるGPGPU(現在のIntel Datacenter GPU MAX系列のアーキテクチャ)を核にしたものである。悪い事にこのDatacenter GPU MAX系列とGaudi系列ではソフトウェアのフレームワークに互換性が無い。なのでGaudi 3をベースとしたシステムを導入しても、この先のアップデートは新規システム導入と同じことになる。要するにGaudi 3を導入するには、使い切りのつもりでいないといけないということになる。
長期的に見れば、Sierra Forest/Granite Rapidsの投入でAMDとの性能ギャップをある程度縮められるメドが立った事で、追撃準備が整った事になるが、短期的(少なくとも2024年度)に関して言えば、引き続き厳しい戦いを強いられることになりそうだ。
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