大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Intel/UMCの12nm協業は「追い詰められた末の起死回生の一手」である(1/3 ページ)
2024年1月、IntelとUMCが、12nm世代の半導体製造プラットフォーム開発で協業すると発表した。この提携は本当のところ何を意味しているのか。Intel、UMCそれぞれの背景を見ながら、深堀りして解説したい。
2024年1月25日にIntelとUMCから発表された、12nmプロセスの共同開発の話は、全く予期していない動きだったものの、冷静に考えると双方にメリットがある、というか双方とも追い詰められた末の動きだったことが良く分かる提携だったと思う。既に簡単なレポートが上がっているが、もう一段掘り下げて説明したい。
今回の提携の発表、肝心なところが抜けている(というか、あえて公開されていない)ので、それを補足すると「IntelとUMCは共同で、『Intelの14nmプロセスをベースに』『より廉価な』12nmプロセスをUMCと共同開発し、両社でこのプロセスを利用して2027年からの量産を開始する予定である。Intelはアリゾナ州オコティージョ・キャンパスに既にあるFab 12/22/32でこの12nmプロセスの量産を行う予定である」ということだと考えられる。どうしてそう考えられるのかを、Intel、UMCの双方の立場から説明したい。
Intelの立場
Intelは当初、14nmの立ち上げに失敗した。本来は2013年に立ち上げ予定だったが、Speed Yieldが十分に上がらず、結局まともにDesktop向けに提供されるようになったのは2014年の「Broadwell」ベースの第5世代「Core」プロセッサからである。ただ後継の10nmがさらに難航した事もあり、2021年の「Rocket Lake」こと第11世代Coreプロセッサまで、7年もの間Intelの主力プロセスとして使われることになった。ちなみにこの間に14nmプロセスそのものも改良されており、当初のBroadwellと翌年の「Skylake」が14nm、2016年投入の「Kaby Lake」が14nm+で、2017年の「Coffee Lake」が14nm++とされ、この14nm++が現在も使われている。
さて、Intelの10nmの遅れもあって、この14nm世代は先に出てきたIntelのFab 12/22/32(いずれもオコティージョ・キャンパス)とアイルランドのFab 24の4拠点で利用されている。2018年には(10nmの遅れに伴う14nmの需要の増強に対応のため)10億米ドルを追加投資して14nmプロセスの生産能力強化を行ったが、ここに来て同社の主力プロセスは、Intel 7(つまり10nm世代)に移行。先端はIntel 4(TSMCのN5相当)にシフトしつつある。
ことし(2024年)はIntel 4に加えてIntel 3(Intel 4の改良版。TSMCのN5P相当)も立ち上がるので、先端はこのIntel 3、メインストリーム向けはIntel 7になり、14nmプロセスへのデマンドそのものが減りつつある。まぁこれは当初から分かっていた話であり、今後はチップセットあるいは一部の組み込み向け製品(Atomベースの組み込み向けプロセッサその他)の製造に振り分けられる格好だが、これだけで4つもの製造拠点のニーズを満たすのは不可能である。以前のIntelの戦略、つまり「IDM 1.0」の頃であれば、これらの製造拠点はどこか一つに集約され、残った拠点は閉鎖あるいは製造装置を入れ替えて、より先端のプロセスの製造拠点に転換という形になるが、「IDM 2.0」ではこれを行わずに外部顧客の製造拠点として維持する形になる。
このIDM 2.0の対象に14nmは入っていない(IDM 2.0というかIFS[Intel Foundry Services]では公式にはIntel 3が最初の提供プロセスとなる)のだが、既存の14nmの製造拠点に関してもこの方法を踏襲した方が長期的にも利益につながるわけで、可能ならそうした方策を取った方が良い。というか、もともと(何がもともとなのかも、もう分からなくなりつつあるが)2016年にIntelがCustom Foundry Serviceを開始するとしたときの対象プロセスは22nm/14nm/10nmで(図1)、本来なら14nmプロセスもIFSの提供メニューに入っていても不思議ではない。これが実現しなかったのは、14nmは上で述べたように2021年まで社内の需要が高すぎて外部の製品を製造する余力が無かったし、10nmは何しろまっとうにモノが出て来たのが2022年以降だから、IFSのサービスとして提供できなかったためだ。
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