大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
生成AIへの活用も期待の次世代スパコン「Aurora」、課題は電気代(3/4 ページ)
もっとも巨大なデータセンターの1フロアを軽く占領する勢いで、消費電力も60MWを超えるであろうAuroraと、こちらで分かるようにラック24本(それも標準的なラックの幅なので、Auroraのラック換算なら12ラック分程度)のDGX GH200を同列に比較するのが土台無茶、という話も無くはない。AuroraはANL(Argonne National Laboratory米アルゴンヌ国立研究所)がDoE(Department of Energy:米エネルギー省)の資金で導入したシステムで、民間企業レベルで導入できるものではないのに対し、DGX GH200は記事にもあるように“究極のAI性能を必要とする「企業向け」大容量AIスーパーコンピューター”であって、それなりの規模の企業なら導入が可能なレベルである。ターゲットが違うのだから、同列に比較するのは間違っているのだろうが、要するにDGX GH200はあくまで「企業が導入できる範囲で」究極のAI性能、と考えるべきなのだろう。
もっともIntelもそんなことは分かっており、企業レベルに導入可能なData Center GPU Maxのソリューションも公開している(写真5、6、7)。
そもそもData Center Max GPU、当初は3SKU(1100/1350/1550)が容易されるはずだったのが、現状1350はまだ仕様がIntel Arkに掲載していない。なので、Data Center GPU Max 1550を例にとると、先に書いたようにAI性能ではInt 8で1M Ops/cycle、FP16/BF16でも500K Ops/cycleの処理性能を持っており、Int 8の数字で言えば1個で900TOPS~1600TOPSの処理性能である。これはNVIDIAのGrace Hopperと比べてもそれほど遜色ない数字となっている(GH200はInt 8で最大3958 TOPSとしているが、これはSparsityの対応をした場合の話で、それなしだと1979 TOPSでしかない)。
実はIntelにしてもNVIDIAにしても、一昨年までの常識で言えば、ここまで高いAI性能を必要とするアプリケーションは「まだ未来の話」であった。もちろん大規模なAIモデルが役に立つであろうということは研究者の間では疑いの余地はなく、それもあってIntelもNVIDIAも、あるいはその他のAI Training向けプロセッサのベンダーも、そうした大規模なAIモデルを実行できるプロセッサを開発していたわけだ。ところがここにきて、特にChatGPTやらStableDiffusionやらに代表される生成AIの効果が、エンドユーザーに分かるような形で示された事で、急に大規模AIモデルを実行できるプロセッサのニーズが高まる事になった。DGX GH200とかAuroraが注目を集める理由の一つは、こうした急激なニーズの盛り上がりが背景にあると思われる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界の脱炭素はなぜ進まない? 実務で直面する“壁”の乗り越え方 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
ものづくり白書2026を読み解く
-
2
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
3
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
4
プリント基板設計の課題を乗り越えた成功事例集
-
5
Waymoの自動運転技術に迫る
-
6
IMUを活用してロボットの位置推定を強化、より高精度なナビゲーションが可能に
-
7
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
8
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
9
動き出したファナックの「フィジカルAI」
-
10
生産に関する知識の習得だけではNG? ものづくり人材を体系的に育成する秘訣
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー