大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
生成AIへの活用も期待の次世代スパコン「Aurora」、課題は電気代(2/4 ページ)
ちなみにTOP 500にエントリが無いから実効性能などは不明であるが、理論性能はおおよそ見当がつく。と言ってもCPU/GPU共に動作周波数が可変だから、理論性能をどの辺に置くかは難しい。一応スペックから算出すると、定格(Base Frequency)ベースでトータル1.916 EFlops、最大(Max Boost/Max Dynamic Frequency)ベースで3.408 EFlopsの性能を持つことになる(FP64のVector演算ベース)。つまり理論性能は2 EFlopsを超えるわけで、現在のFrontierの記録を破るのは割と確実と言える。もっともAMD/HPEはFrontierに続き、LLNL(Lawrence Livermore National Laboratory)に納入予定のEl Capitanで2 EFlopsを達成するとしており、どちらがより高い性能を発揮するのか見ものである。またFrontierは実効性能1.194 EFlopsを22.703MWで達成しており、1 EFlops当たりの消費電力は19.0MWに抑えられている。一方Auroraは定格ベースで考えてもCompute Nodeだけで47.8MW、システム全体で言えば50MWは軽く超えると想像される。実効性能でFrontierや来るEl Capitanに対抗できるのか、ちょっと疑わしいところだ。
さてそんなAuroraであるが、McVeigh氏によれば単に科学技術計算だけでなく、昨今話題の生成AIの稼働にも大いに役立つ、としている(写真4)。
実際、うそではない。先程Auroraの演算性能は1.9 EFlopsから3.4 EFlopsと紹介したが、これは繰り返しになるがFP64のVector演算の性能である。ではAIで多用されるTensor演算の性能は? というと、これが凄まじい。Xeon Maxの場合はAVX-512 VNNIを利用する事でコア当たり256 Ops/cycle(Int8)ないし128ps/cycle(FP16/BF16)、Data Center GPU Maxの場合はMatrix Unitが1,048,576 Ops/cycle(Int 8)ないし(FP16/BF16)524,288 Ops/cycleの処理が可能になっている。つまり1ノード当たりのTensor演算性能は5.4P Ops/sec~9.6P Ops程度。システム全体では実に56 EOps/sec~99.6 EOps/secに達する(いずれもInt 8での数字:FP16/BF16ではこの半分になる計算)。100 EOps/secあるいは50 EOps/secに達するという数字は、COMPUTEXで大々的に発表されたNVIDIAのDGX GH200のピーク性能である1 EOps/secがかすんでしまう勢いである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
CAE解析をAIエージェントに任せてみた 人は何を担うのか
-
2
高度な半導体/電子デバイスの非破壊不良解析を支える「3D X線技術」に迫る
-
3
「ロボットアーキテクチャ」実態調査2026年版:現在の課題と優先事項を解説
-
4
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
5
スマート工場動向調査2026
-
6
【読者調査結果】製造業の脱炭素動向調査2026
-
7
「見て覚えろ」が通じない時代 製造業の保全技術はどのように継承すればよい?
-
8
SiC・GaN時代のパワー半導体開発、信頼性評価と故障解析の課題にどう対応する?
-
9
動き出したファナックの「フィジカルAI」
-
10
はじめての化学工学まとめ(Part1)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー