大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
DDR6までの中継ぎで注目のMRDIMM/いろいろ怪しいIntelのDCAIロードマップ(4/4 ページ)
全体のタイムラインをまとめたのがこちら(写真7)で、2025年にはClearwater ForestというSierra Forestの後継製品が予定されている事も明らかにされた。
ただこれ、普通に考えるとかなり怪しいロードマップである。まず今年第4四半期のEmerald Rapidsは百歩譲って問題ないとしよう。既にVolume validationが進行しているのが事実であれば、致命的な問題がない限り第4四半期中に出荷する事そのものは不可能ではないからだ。Sapphire Rapidsは16回もRe-spin(物理設計のやり直し)が掛かったが、これは要するにそれだけ致命的な問題が出て作り直しを余儀なくされたという話で、同じような問題がEmerald Rapidsに出ない事を祈るのみである。
問題は次のSierra Forestである。このスライドを見る限り、現状Sierra Forestは研究室レベルで動作を確認したレベルである。昨年開催されたイスラエルツアーで、IntelはRaptor Lakeの開発スケジュールを公開し、Power On(つまり研究室でシリコンに電源を入れた時点)から15カ月で量産出荷を開始したと明らかにしている。これは結構早いと思うのだが、クライアント向けのCPUですらPower Onから量産出荷まで15カ月掛かるのだ。Sierra Forestはサーバ向けであり、検証はより時間が必要である。15カ月だとしても2024年前半の出荷は時間的にギリギリであり、それより検証に時間を要すると間違いなく2024年後半になる計算だ。果たしてこれが本当に守れるのだろうか?
もっと厳しいのはGranite Rapidsである。こちらはまだPower Onにも達していない訳で、しかもEmerald Rapidsの後継ということはアクセラレータてんこ盛りの構成だろうから、検証にはさらに時間が掛かる。“closely following”の厳密な定義はもちろんないから、「同じ年度ならセーフ」とか「1年を超えなければセーフ」とか拡大解釈はいろいろ可能だろうが、一般的な意味で言う所の「直後」にGranite Rapidsを出荷するのはかなり厳しそうに思える。そもそも2022年5月に開催されたIntel Visionで「Sapphire Rapidsの最初のSKUを出荷した」とアナウンスしたものの、実際はその最初のSKUとは検証用のシリコンであり、実際に出荷されたのはそこから8カ月後の2023年1月だった事を考えると、Granite RapidsがSierra Forestの「直後」に出荷を開始するのはかなり困難に思える。
ついでに言うと、写真7で2025年にP-Coreを使った製品、つまりGranite Rapidsの後継にあたるものが記載されていないのも気になるところだ。従来ここはDiamond Rapidsと呼ばれる製品が投入予定だったはずなのだが、スリップしたのかキャンセルしたのか、後継が示されていないのはちょっと気になるところである。
あともう一つ言及されていないのはIntel 4の進捗である。Sierra ForestやGranite RapidsはIntel 3を利用して製造される予定だが、そのIntel 3とはIntel 4の改良版である。ということはIntel 4がちゃんと量産されるかどうか? という話になる訳だが、そのIntel 4を利用する最初の製品であるクライアント向けのMeteor Lakeの話が全く聞こえてこないのも気になるところ。今年のCOMPUTEX TAIPEIあたりでは何か情報が出てくるかもしれないが。もちろんプロセスの世界では、不調だったプロセスを飛ばして次に注力する、という例は少なくないので、Intel 4に早めに見切りをつけてIntel 3の完成度を高める方向にかじを切っている可能性もあるのだが。
ということで、いろいろと怪しさを感じるロードマップのように筆者には感じられるのだが、果たしてIntelのDCAI Groupは無事に立て直しを図れるのだろうか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:「PCIM 2026」で見たパワー半導体最前線――電子版2026年10月号
-
2
CAE解析をAIエージェントに任せてみた 人は何を担うのか
-
3
スマート工場動向調査2026
-
4
AIエージェントで製造業の暗黙知を継承、熟練者の思考を再現する保全強化策
-
5
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
6
DMG森精機の欧州深耕
-
7
高精度テクノロジーの学習モジュール 「高精度ADC 基礎編・上級編」
-
8
太陽光発電と蓄電池を最適制御、再エネ活用とコスト削減を両立する製品とは?
-
9
製造現場などを支える状態監視システム サンプリングの位相ずれを減らすには?
-
10
半導体の微細な構成要素を非破壊で可視化/評価する「3D X線技術」とは?
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー