大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
DDR6までの中継ぎで注目のMRDIMM/いろいろ怪しいIntelのDCAIロードマップ(2/4 ページ)
問題は、倍増(8800MT/sec)した信号を従来のSingle-Ended Parallel Busで構成できるのか? という話である。もちろんGDDR6は既に16GT/secを超えており、一部のメモリベンダーは20GT/sec品をアナウンスしたりしているから、電気的には不可能ではない。ただGDDR6に比べると圧倒的に配線が長くなるであろう事を考えると、その長い配線で本当に8800MT/secを実現できるのか? というのは正直未知数の域と思われる。
「んじゃそこでDifferential Signalingにして、ついでにPCIeのようなSerialを束ねた格好にすれば?」というと、それは要するにOpenCAPI陣営が推していたOMI(OpenMemoryInterface)である。何故「推していた」と過去形か? というと、2022年8月1日付でOpenCAPIとOMIの全ての資産はCXL Consortiumに移管されたからだ。つまりOpenCAPI/OMIは標準化規格レースでCXLに負けてしまったという話である。要するに業界に支持されなかったアーキテクチャであり、これを今さら掘り起こすとは思えない事を考えると、やはりSingle Ended SignalingでParallelのままを考えているのだろう。
ちなみに写真1を見るとQDR(Quadruple Data Rate)を転送方式に考えているらしい。実はQDRは組み込みのSRAM向けには長い利用実績があるし、2003年にはQBM(Quadruple Bandwidth Memory) Allianceという団体が存在し、DDR/DDR-IIベースのDRAMチップを使いながら、倍の転送レートを実現するという独自規格を策定(写真2)。VIA TechnologiesのPT800/PM800というPentium 4用の互換チップセットでこれをサポートする(写真3)といったアナウンスも行われたが、結局モノにならずに消滅している。その意味では市場で成功しているのは今のところQDR SRAMのみで、QDR-I/II/II+が商品化されている。もっともQDR SDRAMの場合は、帯域を確保したいというよりは同じ帯域なら信号の幅をDDRの半分にできるという事をメリットとして利用されているので、転送速度そのものはそれほど高くない。QDRで8800MT/secというMRDRAMの技術的な実現可能性はまだ未知数である。
写真1の右下のスライドを見ると、まずはDDR5-4400×2のGen1、次いでDDR5-6400×2のGen2を経て、その次にはDDR5-4400×4(or DDR5-8800×2?)のGen3を想定しているようだが、果たしてそう上手く行くものかどうか? 現在はJEDEC標準としての検討を行ってもらうためのメンバーを集めているという段階で、まだJEDEC内部で検討を始めた訳ではなさそうである。筆者的にはいまひとつ筋が良くなさそうな気がするのだが、さてどうなるだろう?
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