大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
財務の苦境続くIntel、コスト削減のやり玉に挙げられたRISC-VとTofino(2/4 ページ)
この給料カットのもっと前、決算発表を行う前からIntelはコストカット策をいろいろスタートさせている。ただしそれはきちんと計画されたものではなく、割と慌てて実施されたようだ。最初に明らかになったのは、インテルがイスラエルのハイファに建設予定だったIDC21(Intel Development Center 21)をキャンセルした事だ。これは2023年1月16日にイスラエルのGlobesが報じている。ハイファにはIDC9が存在しており(写真1)、2022年10月の記事でもご紹介したようにRaptor LakeはこのIDC9で開発されていた。
航空写真(写真2)でいえば、IDC9 Buildingの左側に広大な敷地があるが、ここにIDC21が建設予定だった。そもそもここにIDC21の建設を決めたのはPat Gelsinger CEOであり、CEO就任間もない2021年3月にイスラエルを訪れ、ここに2億ドルを掛けて新しいIDCを建設する事を発表している。その3カ月後には礎石の据付がハイファ市長や報道陣を招いて大々的に行われている。そのIDC21であるが、建設は完全にキャンセルされ、敷地は駐車場になると発表した事を報じられている。
次に明らかになったのは、OregonのMega Labのキャンセルだ。2023年1月20日、The OregonianはIntelがオレゴン州ヒルズボロにあるJones Farmキャンパス(写真3)内に建設予定だったMega Labの建設を中止した事を報じた。
Intelはオレゴン州ヒルズボロにいくつかのキャンパスを保有しており、このJones Farmキャンパスから東に4Kmほど移動したところには、同社のメインのFabであるD1Xを抱えるGordon Moore Parkが控えている(以前はRonler Acresキャンパスという名前だった)。さてJones Farmの方は2022年5月、7億ドルを投じて新しいResearch and Design Mega Labを建設する事が発表されていた。こちらは次世代のデータセンターの開発をターゲットとしたもので、2022年中に建設が開始され、2023年末には稼働開始予定とされていた。ちなみにそのGordon Moore Parkの方も、2022年4月に30億ドルの投資を行って設備を拡張する事が発表されている。もっともこちらはD1Xの拡張がメインであって、来るIntel 20AとかIntel 18Aの製造のための拡張という事もあり、こちらは今のところコストカットの対象にはなっていない。話をMega Labに戻すと、総面積は20万平方ftになる予定だったこのLabは建設が中止。このMega Labで行う予定だった次世代データセンター向けの研究は、既存のオレゴンの研究所などで行われる予定、としている。
この2つの研究開発拠点建設をキャンセルした事で合計9億ドルが節約できた計算になるが、これでは同社として不十分だったようだ。同社が2022年の投資家説明会で説明した際の数字は粗利率が51~53%の予定で、ところが実際には42.6%(GAAPベース:Non-GAAPだと47.3%)でしかない。最終的な決算の数字で言えば売上630億5400万ドルに対して粗利が268億6600万ドルであり、これを例えば51%にしようとすると粗利が321億5700万ドルほど必要になる。つまり53億ドルほど足りない計算である。先のIsrael GrovesによればIntelは2025年までに100億ドルのコスト削減を実施するとしており、一方The Oregonianによれば2023年中に30億ドルのコスト削減を行うとしている。要するに毎年30億ドルずつ削減するとともに売り上げを伸ばす事で粗利率を改善しよう、という訳だ。例えば売上が30億ドル増え、経費が30億ドル減れば、粗利率はGAAPベースでも50%を超える。どうやって売り上げを30億ドル増やすのか? という話だが、同社のDCAI(Data Center and AI)部門は、2021年の227億ドルの売上が2022年には192億ドルと30億ドル以上減っている。この主要な要因はSapphire Rapidsの遅れに起因する顧客(サーバメーカー)の買い控えである。だからSapphire Rapidsの出荷が開始された事で、今年はDCAI部門の売上が2021年度レベルまで戻せる可能性は低くない。あとは経費だけ削減すればいい、という訳だ。
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