大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
決算から見えてきた半導体需給の状況(4/4 ページ)
一方5nmは? というと、こちらは現在の一番の稼ぎ頭である。TSMCが2022年10月13日に発表した第3四半期の決算報告の中で、出荷量で言えば5nmが28%、7nmが26%で両者合わせて全出荷量の半分を超えているとしている。その7nmが急減速したという事は、つまり5nmが1人で売り上げを牽引しているといっても過言でもない。ここは間違いなく取り合いであり、需要に供給がまだ追い付いていない状況である。ただTSMCにしてもSamsungにしても4nm/3nm世代を投入すれば5nm世代の需要は減ると理解しており、なので当面はここに追加投資とかを行う計画はなく、したがって供給不足は引き続き続くことになる。
このように、ロジックだけ取り上げてもプロセスノードごとに細かく需給の状況が異なっているのがご理解いただけるかと思う。これがパワー半導体になると、もっと状況が細分化されてしまい、もはや筆者にも追いきれない。長引くCOVID-19の影響に加え、車両のEV化がこれに拍車を掛けているからだ。
ウクライナ戦争の影響などもあって、発電能力不足が予想される事や、充電インフラの整備が間に合わないなどの理由でEUにおける内燃機関ベースの新型車の発売禁止を2040年に後送りしたいという要望が出ていたものの、最終的にEUはこれを当初予定の2035年とすることを10月末に決定しており、この先はさらにパワー半導体が必要になる。TI、Infineon、STMicroelectronics、ルネサスなどパワー半導体を供給するメーカーが相次いでパワー半導体製造のFabを新設するのはこうしたシフトをにらんでの事であり、COVID-19に絡む需要増の後は、このEVシフトに向けたデマンドがやってくると考えられる(他にも船舶とか飛行機などもEV化の波が押し寄せており、こうしたところもやはりパワー半導体をたっぷり利用する)。そう考えると、細かく見ればムラはあるだろうが、大勢としては引き続き供給難が大なり小なり続きそうである。特定のノードを除けば、ロジック向けは2023年にはおおむね需給バランスは正常化しそうだが、パワー半導体が落ち着くにはもう少し時間が掛かるかもしれない。
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大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
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