大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
決算から見えてきた半導体需給の状況(2/4 ページ)
ではその他の分野は? というと、これはかなり複雑な事になっている。国内で言えば、例えば給湯器とかエアコンの類が軒並み半導体不足で品不足に陥っているが、こうした機器向けの場合は汎用MCUとかではなくASICが利用される事が多く、こちらは比較的Mature(90~130nm程度のプロセス)で製造されている。なのでこれに関して言えば、ファウンダリの生産能力の限界の問題となっている。ではその他の汎用品あるいはASSPは? というと、これはかなりムラがある。以下でプロセスノードごとに説明する。
〇180~110nm
一時期は本当に在庫が払底していたが、このところだいぶ回復してきた。そもそもこのあたりのプロセスは最近のロジック向けでは余り使われず、どちらかと言えばかなり古いデザインで利用され、それが継続生産・利用されてきたという方が実情に近い。なので生産量≒需要という感じになっていた。ところがCOVID-19入りして急に需要が増えてしまったが、一方で何分にも古いプロセスだから急に生産量を増やすのも難しい(そもそもこのあたりだと200mmウェハがまだ使われているし、生産設備も古いものが多い)から、急に設備を増強というのは難しい(もう古い装置が流通していないから、結果として設備の総入れ替えになりかねない。これは時間もコストもかなり掛かる)。そこまでして生産量を増加しても元が取れればいいが、今回の需要増が一過性のもの、と考えれば大赤字になる。結局のところ需要のピークを越えるまで待つ、という動きにならざるを得ず、必然的に品不足に陥ったという感じだ。ここにきてこうした需要増が一段落したことで、需給のミスマッチが解消されてきた形だ。
〇90~55nm
ここに関しては、まだ一部製品で供給不足が続いている。55nmに関しては、特に組み込み機器向けの新製品で採用される事も多いからだ。技術的にはもう成熟したノードであるが、NRE(製造初期コスト)やウェハ製造コストの安さ(TSMCの例で言えば、ウェハ1枚あたり2000ドル未満で製造できる)から、広範で利用されている。製造は200mmウェハと300mmウェハが混在してるような格好で、90nm/80nmではまだ200mmの比率が高いが、65/55nmだとほぼ300mmに移行が終わっている様な格好だ。こちらは、少なくとも180~110nmに比べれば増産は比較的容易であり、実際増産を行っているファウンダリも複数存在する。この辺のプロセスだと、自社Fabでの製造も可能な範疇であり、自社製品の需要に応じて生産調整がしやすいからで、まだ自社Fabを保有しているメーカーを中心に増産が掛かっているようだ。ただ問題は、ここで設備を増給して供給量を増やしたところで、いつまでその需要が続くか読み切れないという事で、結局各社とも設備増強をしないで済む範囲での生産量増強を行っており、それもあって比較的需要の高い55nmあたりに関してはまだ需要に供給が追い付いていないという感じになっている。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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