大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
プロセッサの動作周波数が再び注目されるワケ(2/5 ページ)
で、再び写真4に戻るのだが、IDCが扱うのはクライアント(デスクトップおよびモバイル)向けで、サーバあるいは組み込み系は扱っていない。で、IDCが一手にクライアントの設計を担っているか? というとそういう訳でもなく、オレゴン州にもやはりDevelopment Centerがあり、この2カ所で製品開発を分担している格好だ。そこで、ここ20年ほど(Pentium以降)の製品と、それを担当したDevelopment Centerをまとめ直したのが表1である。
こと2007年位までの範囲の話で言えば、オレゴンの設計するチップは高動作周波数・高性能(Pentium Pro→II→III→4)の製品を、イスラエルの設計するチップは高効率(キャンセルになったTimna→Pentium M→Core Duo→Core 2 Duo)を担うという風に言われており、実際そういう形で製品展開が行われていた。ただこれが変わってきたのはCore世代からのようだ。2008年のBloomfieldは、そもそもXeon系への採用を前提にしていた(というか、クライアント向けがむしろオマケでメインはXeon向けと言った方が正しい)から例外、またHaswellもちょっと理由が分からないのだが、Broadwellは14nmプロセスの先行実装だったし、Cannon Lakeも10nm向けの初のプロセスだった。LakefieldはFoveros(ダイの3次元実装パッケージ)の最初の実装例である。Tiger Lakeも同じで、これも10nm SuperFinの初採用例、そして来年投入のMeteor LakeはIntel 4(とFoveros)を採用した初の製品ということになる。どうも、プロセスに関して新技術が入るときにはオレゴン、そうでない場合はイスラエルで設計が行われる、というのがここ10年余りの製品動向の傾向に見える。
ただこれは考えてみれば実にリーズナブルな話である。というのはオレゴンにはIntelのD1XというFabがあるからだ。
D1XはIntelの他のFabと異なり、先端プロセス開発用だからだ。もともとIntelのFabはCopy Exactlyと呼ばれる仕組みを取っている。要するに複数のFabで、本当に厳密に同じ環境、同じ製造手順、同じ設計で製造を行う事で、Fab間での製品の差異をなくすというものだ(ちなみにこの手法をIntelに提示したのは故 大見忠弘 東北大学名誉教授である)。なので、例えば10nm世代ならアリゾナのFab 12/22/42とイスラエルのFab 28で製造が行われているが、この4つのFabの10nmの製造ラインは完全に同じものになるように運営されている。ただその元になるのは、D1Xで開発された10nmのラインという訳だ。
話を戻すと、BroadwellとかCannon Lake、Tiger Lake、Meteor Lakeなどは、まだ量産Fabでそのプロセスの製造が始まっていない段階で開発されることになる。そうなると、その量産手法を開発するD1Xと共同で、その量産プロセスを使う製品の開発を行う事になる。必然的に、D1Xのそばで開発する方が効率が良い訳だ。結果としてBroadwell(1年遅れ)とかCannon Lake(まともに量産できず、統合されたGPUを無効化した上で少量を出荷してEOL)、Ice Lake(約半年遅れ)になるのも致し方ないところ。Tiger Lakeが上手く出荷できたのは、やはり全く新しいプロセスではなく、10nm+をベースに改良した10nm++とでもいうべき10nm SuperFinプロセスがそれほど問題がなかったからと想像される。なので2023年のMeteor Lakeも無事出荷できるかどうかはもうIntel 4プロセスに掛かっている訳だがそれはともかく。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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