大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
夢物語から実現に近づいてきた光インターコネクト(4/4 ページ)
ただ、それこそSwitchであれば図6のように、シャーシ内部に光ファイバを這わせても大きな問題にはならないかもしれないが、もう少し進んでコンポーネントそのものを光インターコネクトでつなぐ、という用途だと流石に光ファイバーを這わせるのは問題である。そもそも配線密度が低すぎるからだ。もちろんWDMを使って1本のファイバーでつなぐという案もなくはないが、やや力業に過ぎる。この問題に対するソリューションをHot Chipsで発表したのがLightmatterである。同社はもともとAI向けのプロセッサを光素子を利用して構築するというビジネスを手掛けており、これはEnviseという名称でのチップを開発しており、まもなくサンプル出荷が始まる。そもそもEnviseそのものがMZI(Mach-Zehnder interferometers:マッハツェンダー干渉計)とPhase Shifter(位相シフト素子)を組み合わせ、光信号ベースで処理を行うというチップであり、なので入力も出力も原則光信号である。LightmatterはこのEnviseをスケールアウト的に大量に相互接続する事で高性能を狙う目論見を持っており、そのためには高密度な光インターコネクトの基盤が必要になる。そこで同社がEnviseに続いて開発したのが、Passageと呼ばれる光インターコネクト基板である(図9)。この導光経路と配線層が混在する層の断面はこんな感じだ(図10)。
Mod/PDはチップ内に組み込むことを前提に、それを相互接続したり、あるいは基板の外に引き出すためのWaveGuideを電気配線と混在させられる仕組みだ。これを使えば、冒頭で書いたSwitchの内部配線の問題が解決する事になる。ちなみにPassageは単なる導光経路ではなく、動的に接続を切り替えたりすることも可能なProgrammableインターコネクトとされている。
これらの技術が今すぐ商用可能というわけではないが、これまでは夢物語に近かった光コンピュータや光インターコネクトが、割と実現に近いところまで進んできたというのが、今回のHot ChipsとHot Interconnectsの大きな収穫の一つだったと思う。ここ1~2年というのは厳しいかもしれないが、2030年頃までには特定用途向けに本格的な利用が始まりそうな気がする、というのが筆者の感想である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:「PCIM 2026」で見たパワー半導体最前線――電子版2026年10月号
-
2
CAE解析をAIエージェントに任せてみた 人は何を担うのか
-
3
スマート工場動向調査2026
-
4
AIエージェントで製造業の暗黙知を継承、熟練者の思考を再現する保全強化策
-
5
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
6
DMG森精機の欧州深耕
-
7
高精度テクノロジーの学習モジュール 「高精度ADC 基礎編・上級編」
-
8
太陽光発電と蓄電池を最適制御、再エネ活用とコスト削減を両立する製品とは?
-
9
製造現場などを支える状態監視システム サンプリングの位相ずれを減らすには?
-
10
半導体の微細な構成要素を非破壊で可視化/評価する「3D X線技術」とは?
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー