大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
7兆円のCHIPS for America Act成立で矢面に立つIntel(1/3 ページ)
エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今回は先月末に成立した米国半導体業界の再生に向けた法案「CHIPS for America Act」などにフォーカスする。
今月は細かいネタを幾つか、といいつつ話が最終的にIntelに収斂(しゅうれん)してしまうあたりがなんともはや、という感じではあるのだが。
CHIPS for America Act成立
2022年7月28日、CHIPS for America Act(正式名称は“The CHIPS and Science Act of 2022”)が可決された。要するに米国内で生産を行っている半導体企業に対して、5年間で527億ドル、おおよそ7兆円の資金を提供する(ただし当然ながら生産拠点は米国内)というものである。これでどのくらいの設備が建設できるか? という話だが、例えば2021年末にSamsungがテキサス州テイラーに新Fabの建設計画を発表した時の金額はおおよそ170億ドル。つまり、先端Fabを新規に3つ建設してお釣りが来る程の金額である。当然ながらこれに喜んだのはIntel、GlobalFoundries、SkyWaterといった、米国に製造拠点を置く半導体メーカーであって、Intelは「中断していたオハイオ拠点の建設を再開する」、Globalfoundriesは「ニューヨークとバーモントの製造拠点の投資に利用する」といった具合。Skywaterは2022年7月20日、法案成立を前提にインディアナ州に新施設建設を発表している。逆にFablessであるAMD、NVIDIA、Qualcommといったメーカーは、そもそもリリースすら出していないあたり、特定メーカー向けのひいきの引き倒しといった印象は否めない感がある。
この中で一番矢面に立っているのがIntelである。
なにしろ同社の2022年Q2決算は記録的と言うか破壊的なもので、売り上げは2022年4月の同社の予想を27億ドル下回る153億2100万ドル(ちなみに2021年Q2は196億3100万ドル)、粗利率は59.8%から44.8%(non-GAAP、GAAPベースだとそれぞれ57.1%/36.5%)に下がり、一株当たり利益も$1.36から$0.29(同じく$1.24/$-0.11)に下落である。GAAPベースだと赤字転落になってしまったわけだ。理由は売上減と設備投資などの増加のダブルパンチである。まぁ売り上げ減の方はこの後で触れるとして、設備投資の方は凄まじい。IDM 2.0を標榜し、生産能力拡充に向けて大きく舵を切った、と言う話は連載の2022年2月を振り返る記事でご紹介した通りであるが、Fab 42に新設する2つの製造施設だけで200億ドルである。もちろんこれを1回で支払う訳ではないにしても、設備投資の増加は間違いないところであり、総額527億ドルの米政府の支援は当然喉から手が出るほど欲しいのが現在のIntelである。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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