組み込みエンジニアの現場力養成ドリル(27)
π>3.05を証明せよ ―― 東大の伝説の入試問題をプログラムで解く(2/5 ページ)
問題1の解答
22/7=3.1428……となり、小数第2位まで円周率と一致しているため。
問題1の解説
22/7という分数は、由緒正しい値であり、紀元前の古代ギリシアの数学者、アルキメデスが使っていたもので、2200年以上の歴史があります。意外に使える分数ですので、覚えておくと重宝します。
「ところ変われば品変わる」で、中国では12月21日も「円周率の日」です。その理由は、1月1日から355日目が12月21日であり、355÷113=3.14159292……と、小数第6位まで合っているから」とのこと。今から1500年前の中国の数学者・祖沖之(429~500年)が発見したそうです。小数第6位まで正しいことは評価しますが、ツッコミどころ満載ですね。
355日目は、うるう年なら12月20日なりますし、どこから「113」を持ってきたか、謎です。私は、「12月31日に近づくほど、円周率の精度が高くなるのでは?」と考え、365日(うるう年の366日も考慮)をテキトーな定数(マジック・ナンバー)で割って、3.1415926……に近い値になる月日を求めるプログラムを作り、実行しました。その結果を以下の表1に示します。
| 1月1日からの 日数 |
月日 | マジック ナンバー |
割り算の値 | 正しい範囲 |
|---|---|---|---|---|
| 245 | 9月2日 | 78 | 3.14102564… | 小数第3位 |
| 267 | 9月24日 | 85 | 3.14117647… | 小数第3位 |
| 289 | 10月16日 | 92 | 3.14130434… | 小数第3位 |
| 311 | 11月7日 | 99 | 3.14141414… | 小数第3位 |
| 333 | 11月29日 | 106 | 3.14150943… | 小数第4位 |
| 355 | 12月21日 | 113 | 3.14159292… | 小数第6位 |
これを見ると、面白いことが分かります。小数第3位までが正しい「1月1日からの日数」と「マジック・ナンバー」の関係ですが、「日数」が規則的に22ずつ増え、「マジック・ナンバー」もキチンと7増加しています。アルキメデスの「22/7」と不思議な関係がありそうですね。
ちなみに、「355」も「113」も覚えにくいので、私なら、「333」と「106」の組み合わせにしたいところです。
円周率の覚え方
日本語の数字は、例えば3を「さん」「さ」「み」と何通りにも読めるため、語呂合わせに最適の言語だと思います。√2の「一夜一夜に人見ごろ」や、√5の「富士山麓にオウム鳴く」は芸術的ですね。日本での円周率の覚え方として有名なのが、皆さんもご存じの「産医師、異国に向かう(3.1415926)」です。
では、英語圏ではどう覚えるか? いろいろありますが、圧倒的に有名なのが「May I have a large cintainer of coffee?(大きいサイズのカップでコーヒーをいただけますか?)」です。技術英語の授業でこの文章を黒板に書き、「なぜ、これが円周率の語呂合わせでしょうか? 授業が終わる直前に解答します」と言うと、学生は授業そっちのけで考えます(なので、出題するのは授業が終わる10分前です)。
答えは、「各単語の文字数が、3, 1, 4, 1, 5, 9, 2, 6 文字になっている」です。自然な意味のキチンとした英文になっているところが秀逸です。日本の語呂合わせは「3.1415926」、英語でも「3.1415926」で、同じ桁数であることも面白いと思います。
ちなみに、「語呂合わせ」は、英語で「mnemonic」と言います。アセンブラ言語での「二モニック」でお馴染みですね。英語は、「語呂合わせ」が苦手な言語です(注2)。「単語の文字数で覚える」方式以外に、「電話(スマートフォン)の数字に割り振ったアルファベットで単語を作る」という方法があります。皆さんのスマートフォンから、電話帳に登録していない番号に電話をかける場合、右の写真のような画面が出ます。ここから電話番号を打ち込むのですが、各数字にアルファベットが割り振ってあります。例えば、米国の不動産会社の番号が「102-845-3464」なら、広告の電話番号に「10-BUILDING」と併記してある場合が少なくありません。こうすると、番号を覚えやくなります。日本の焼肉屋さんで、最後の4桁が「1129」だと「いい肉」と語呂合わせするようなものです。ただし、米国の電話番号方式では、「1」と「0」にアルファベットがないので、工夫が必要ですね。
注2:
九九も英語では言いにくく、例えば、7×8=56は、そのまま「Seven times eight equals fifty-six」と覚えるそうです。ただし、九九の表を見て徹底的に暗記するので、「7×8」を見た瞬間、「56」が出てきます。日本人は、「ひちはごじゅうろく」と言わないと出てきません。フランス語の九九はもっと大変で、例えば、72は「60+12(soixante-douze)」、81は「4*20+1(quatre-vingt-un)」と、もともと、数字に掛け算や足し算が入っていたりします。9×8=72、9×9=81はそのまま「neuf fois huit soixante-douze」「neuf fois neuf quatre-vingt-un」と長文かつリズム感もよくなさそうで、覚えるのが大変そうです(foisは「回」で、「その回数だけ足す」の意味になります)。
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