大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
エンドポイントAIの動向(2/3 ページ)
ECM3532の量産出荷が開始
長々とETA Computeの紹介をしたのは、まさに2020年2月にこのECM3532の量産出荷を開始したからだ。現時点ではECM3532の量産価格は公表されていないが、そもそもCortex-M3+DSP+512KB Flash+256KB SRAM+ADC+Communications(UART/SPI/I2C/I2S)といった構成だから、多少マージンを乗せるにしても数ドルのオーダー(それも5ドル未満)と思われる。
そのECM3532発表の翌日、今度は英XMOSが1ドルを切るAIoT向けクロスオーバープロセッサとして、xcore.aiを発表した(図4)。
XMOSは、もともとはTransputerというユニークなプロセッサを手掛けていたINMOS(1989年にSGS Thomsonに買収される)の開発者があらためて興した企業である。ここは、1つの高速なMCUを時分割多重で使う事で、見かけ上マルチコア(最大32コア)のMCUとして利用できるという、こちらも非常にユニークなxCOREシリーズを提供している。強いて分類すればDynamic Reconfigurable MCUとでも言うべきものだが、ただ汎用品としてはなかなか芽が出ない状態が続いていた。それがもともとアプリケーションの一つとして推していた音声処理がスマートスピーカーの興隆に見事にマッチ、昨今では音声処理プロセッサベンダーとしてのポジションを確立した感がある。
ところがスマートスピーカーのマーケットにおいては、ある程度ローカルで推論が行える処理が要求されている。具体的に言えば、例えば音声認識とか発声認識のニーズは高い。要するに利用者の音声データをそのまま送るより、言語化までローカルで行ってから送った方がデータ転送量も減る。あるいはノイズキャンセル処理とかもAI(というかCNN)を応用する話が結構出ている。ただ高価格帯向け製品はともかく、低価格のエントリ向けスマートスピーカーにこうした機能を盛り込むのは難しいとこれまで考えられていたわけだが、XMOSはここに切り込んだわけだ。なのでAIといっても、ここで動かせるものは限られる(そもそもTensorFlow Lite for MCUで利用できるNetworkしか使えない)し、明らかに音声処理アプリケーション以外では利用しようがないのだが、その代わり1ドルを切る金額でそれなりの推論処理が可能になるというわけだ。
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大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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