組み込みエンジニアの現場力養成ドリル(14)
「赤か? それとも青か?」――機能共有の悲劇がもたらした混乱するトイレのUI(2/3 ページ)
解答編
以下に解決策を4つ示します。
解決策1:
紛らわしい半円マークではなく、図9のように、赤色と青色の矢印で表示する。
解決策2:
レバーではなく、蛇口(パイプ)の本体に赤色と青色を表示する(図10-1)。
混乱の原因は、「動くレバーに赤色と青色の表示があること」です。これが動かない蛇口本体に表示してあれば、レバーをどちらに回せばいいのか、筆者も混乱しません。レバーを右へ回せば冷水が出ると分かります。単に赤色と青色に塗るだけでなく、図10-2のように矢印にすると完璧で、これであれば悩んだり、間違ったりしません。
解決策3:
ドアの表示錠と同じように、蛇口の表示を「窓」方式にする。
混乱の原因として、ドア(表示錠)と蛇口で「赤色/青色」の表示方式が異なることが挙げられます。それならば、レバーに窓を付けて、ドアと蛇口を同じメカニズムにすればよいのです(図11-1、図11-2参照)。
「窓」の設定は、「窓を正面に固定し、背面の赤色/青色を動かす」方式と、「背面の赤色/青色を固定し、窓を動かす」方式の2種類があります(図11-1と図11-2は後者です)。どちらの方式でも構いません。
解決策4:
冷水と温水の蛇口を別々にする(図12のような、昔のタイプに戻す)。
解決策1の「半円マークでなく矢印で表示する」と、解決策3の「表示窓」方式は、既に例を示していたので、簡単に想像できたでしょう。どちらも、表示方法を分かりやすくする「視覚的な解決策」ですね。また、解決策2についても同様に、視覚的な解決といえます。
一方、解決策4は、「視覚的な解決」というよりも、「機能的な解決」といえます。昔の温水蛇口やシャワーは、図12のように「湯が出る赤色の蛇口と、冷水用の青色の蛇口」の2つを備えていました。水温の微妙な調節が難しかったことを覚えている人も多いでしょう。昔は、1つの把手には1つの機能しかありませんでした。機能の独立性の観点では、非常にシンプルで良い設計です。これが、今では1本のレバーで水温と水量の両方を同時に制御できます。
ソフトウェア工学的に見ると、蛇口のユーザーインタフェースの改善は「保守」の一種です。現行の生産ラインに大規模な変更が必要なく、コストも時間もかからないのが、「レバーの表示を半円マークから矢印にする」という解決策1でしょう。解決策2は、水が出るパイプ側に加工が必要ですし、解決策3は、レバーとパイプの両方を変えなければなりません。さらに解決策4は、別の蛇口で置き換えねばならず、かなり大掛かりな改修になります。
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組み込みエンジニアの現場力養成ドリル
このコラムでは、組み込みエンジニアが日々の開発で実際に遭遇する「小さなトラブルを」取り上げ、演習形式で解説します。
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