RTOS/Linux共存の最前線(2)
RTOS/Linuxの共存を実現する「OpenAMP」と「MDCOM」の違いとは?(3/3 ページ)
RTOS/Linux共存のユースケース
これまで述べてきた技術を活用し、RTOSとLinuxの共存を実際に製品に適用する動きが広がっています。ここでは、以下の3つの製品領域を取り上げ、共存の活用について説明します。
- 産業グレード機器
- 車載システム
- 高級カメラ
ユースケース(1):産業グレード機器
高精度の部品を製造する工作機械は、緻密なサーボモーター制御や加工制御が必須であり、そのためのセンサー情報の取得もRTOSが適しています。一方で人間が操作するためのGUIや、工作対象物の画像認識による作業自動化、音声認識による作業環境状況把握、作業員の作業効率判断といった人工知能を活用する実行環境としてはLinuxの豊富な資源が有効です。RTOS上での制御とLinux上での高度なアプリケーションを組み合わせることで、生産効率の最大化を目指すことができます。
ユースケース(2):車載システム
自動車では、人命に関わる各種制御や近接センサーなどの確実性が問われる機能では、RTOSの使用が適しています。一方、運転手の表情で居眠り運転を検知するなど、車内環境に対する画像処理やカーナビゲーションシステムのインターネット接続機能、各種アプリケーション開発ではLinuxを活用できます。
ユースケース(3):高級カメラ
カメラのシャッター制御やオートフォーカスなど、繊細な制御が必要な機能ではRTOSが活用されてきましたが、最近のモデルではレタッチ機能や、Wi-Fiを経由してPCやSNSに直接画像データを配信できる機能も需要があります。
シャッター制御やオートフォーカスなど、従来RTOSで行われてきた制御はそのままRTOSで行い、前述した市場ニーズの変化への対応は、Linuxの豊富な資源を利用することで素早く付加価値を製品に与えることができます。
Linux/RTOS共存の先にある課題
LinuxとRTOSを共存させることで、複雑な処理や外部サービスとの連携が可能になります。特にイーサネットやWi-Fi、Bluetoothなどのネットワーク関連は、RTOS上の実装が難しいことから、多くのユースケースでLinuxに期待されている機能の一つです。
しかし、ネットワーク機能を得るということは、外部からの攻撃にさらされる危険性が増すことにつながります。製品がインターネットに直接接続していない場合であっても、イントラネットや機器間で通信を行っていれば踏み台攻撃など、サイバー攻撃にさらされる可能性があります。
従来RTOSだけで動作していた組み込みシステムが、Linuxによってネットワークにつながったとき、セキュリティについてどのような考えを持つべきでしょうか? 次回は、「LinuxとRTOSの共存環境におけるセキュリティ」について紹介します。ご期待ください。 (次回に続く)
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RTOS/Linux共存の最前線
組み込み機器に求められる用件は高度化/複雑化しており、チップ側もマルチやヘテロジニアス構成が一般化している。そうした環境下で注目されるのが、「RTOSとLinuxの共存」である。本連載では共存環境の開発に向けた注意点を紹介していく。
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