RTOS/Linux共存の最前線(2)
RTOS/Linuxの共存を実現する「OpenAMP」と「MDCOM」の違いとは?(2/3 ページ)
OSを共存させるオープンソース
続いて、このようなネイティブ方式でのRTOS/Linux共存を実現する代表的なオープンソースである「OpenAMP」と「MDCOM」について簡単に説明し、比較を行います。
OpenAMP
OpenAMPは、MCA(Multicore Association)によって標準化されたマルチコア上の複数システム間通信API仕様をオープンソースで提供するものです。MCAは世界の半導体ベンダーから、RTOSやLinuxのSIerまで幅広いステークホルダーが参加し、ホモジニアスマルチコアおよびヘテロジニアスマルチコアの組み込みシステム間の通信および同期に向けた標準API(Application Programming Interface)を提供する標準化団体です。
OpenAMPには、CPUのライフサイクルを制御する「remoteproc」と、異なるOSおよびCPU間のメッセージ通信を行う「RPMsg」と呼ばれる2つの主要機能があります。これらは既にLinuxカーネルに取り込まれており、RTOSやベアメタルアプリケーション向けライブラリ(libopenamp、libmetal)やサンプルプログラムも開発、提供されています。
これらの機能をLinux OS上で利用する場合、Linuxカーネルの機能であるremoteprocとRPMsgを扱うための専用デバイスドライバを作成し、このデバイスドライバ経由で通信する必要があります。RTOSやベアメタルアプリケーションでremoteprocなどの機能を利用する場合は、前述したlibopenampライブラリとlibmetalライブラリを利用します。
remoteprocとRPMsgの概要は、以下の通りです。
- remoteproc(Remote Processor)
CPUのライフサイクル管理(起動と停止)
- RPMsg(Remote Processor Messaging)
- 異なるOS、CPU間のメッセージ通信
- 1メッセージ最大512バイト
- マルチチャンネル、マルチエンドポイント
MDCOM
MDCOM(MultiDomain Communication Module)は、NPO法人であるTOPPERS(Toyohashi OPen Platform for Embedded Real-time Systems)プロジェクトが開発したソフトウェアであり、OpenAMPと同様の機能を提供します。OpenAMPに比較した特徴として、OpenAMPの制限である通信用バッファーサイズの制限がないという点があります。
関連リンク:MDCOM Webサイト
比較
OpenAMPとMDCOMの比較を表2に示します。メッセージの最大サイズに関しては、MDCOMの仕様が優れています。一方、OpenAMPは標準化された仕様であること、世界的にも利用され、活発に開発が行われていること、多くのArm SoCで利用可能であること、継続的な機能強化が行われていることなどが利点として挙げられます。
| 項目 | OpenAMP | MDCOM |
|---|---|---|
| CPU制御機能 | あり | あり |
| 異なるOS、CPU間のメッセージ通信 | あり | あり |
| 1メッセージのサイズ | 512バイト固定 | 制限なし |
| マルチチャンネル、マルチエンドポイント | あり | あり |
| 仕様(標準/独自) | 標準化団体による仕様 | 独自仕様 |
| プロジェクト継続性 | あり | なし |
| 利用するユーザーの分布 | 世界で利用 | 主に日本で利用 |
| 表2 各OSSの比較 | ||
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RTOS/Linux共存の最前線
組み込み機器に求められる用件は高度化/複雑化しており、チップ側もマルチやヘテロジニアス構成が一般化している。そうした環境下で注目されるのが、「RTOSとLinuxの共存」である。本連載では共存環境の開発に向けた注意点を紹介していく。
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