製造現場でこそ使いたい! Fusion 360の魅力(5)
いざ「Fusion 360」の現場導入! 機能を使いこなすために心得ておきたいこと(2/2 ページ)
3.公差表現に配慮した、現場で使える3Dデータの共有
前回、「別の3D CADフォーマットであってもクラウドへのアップロードが可能で、そこからFusion 360上でデータの展開ができるため、中間ファイルでやりとりしなくても大丈夫だ」と述べました。しかし、これはデータ展開時に自動的にFusion 360アーカイブファイル(*.f3d)に変換する仕組みなので、“「拘束」や「履歴」を持ったネイティブフォーマットを、そのまま展開できるものではない”ということを理解しておいてください。
3Dデータは図面と違って、データを画面上で計測して初めて寸法が分かります。ですが、その全てが「基準寸法」で描かれているのか、「公差の中央値」で描かれているのかまでは簡単に判別できません。
製造業の現場は「図面第一」ですから、3Dデータだけを頼りに作業を進めることは、まずないでしょう。実際、3Dデータの寸法公差の表現方法はJISでルールが決められているわけでもありませんし、現場では公差の表現方法もまちまちです。そのような3Dデータを使うと当然リスクが生じます。特に、3DデータをCAMに送ってNCプログラムを作成する場合、その影響を大きく受けることになります。
現場では、無垢(むく)材からの削り出しもあれば、鋳物製のブランクへの後工程での切削もあり、モノに応じて指定された公差を再現するために最適な加工方法を見極める必要があります。しかし、設計側は加工方法まで関与しないで絵を描くことがほとんどです。
もしも、支給された3Dデータの寸法値が、加工上の狙い値から懸け離れている場合、現場でデータを修正しながら図面との整合を取る必要が生じます。その結果、現場に大きな負担をかけることになり、工数と時間のムダにつながります。
こうした現場への負担とムダを作らないためには、設計と現場とのコミュニケーションの中で、モデリングにおける公差表現の方法をルール化し、「現場で使える3Dデータ」を共有することが大切です。
さて、「クラウドベースのクセも理解できたし、認識の共有もできた。運用ルールも決めたぞ!」となれば、要となる「現場作業者の3D CADオペレーション教育」に視点を移さなくてはいけません。「3D CADは、概念は単純だけど操作が難しい」というイメージがあり、確かに「仮想空間に絵を描いて、立体として成立させる」という作業は、体で慣れないと理解できないかも知れません。
本連載の第3回で述べたように、加工現場では、一からのモデリングよりも、設計者や客先から受け取った3Dモデルの修正から手を付けることがほとんどです。社内教育では、まず3Dモデルの扱いと編集に慣れることを目標にカリキュラムを組み、モデリングは次のステップとすべきでしょう。
Fusion 360では直方体や円柱やパイプといった、いわゆる「材料形状」については既に定義された操作で、すぐに作成できるようになっています。そのため、定型操作を覚えるのが得意な人は短期間で操作をマスターできますし、そうでなくても例題を一通りこなせば大体のことはできるようになります。後はその繰り返しです。
現役の加工者であれば、モデリング作業でも「どこを基準にして寸法を出そうか」と思考しながら、材料をオシャカにしないで加工検討できるところも便利に感じてくることでしょう。それ以外にも、現場でのFusion 360活用の道はさまざまです。
モデルに材料を設定してプロパティを参照すれば、質量も体積も即座に分かるので、例えば「モデルから表面積を調べて、表面処理のコストを試算してみる」といったことまで、現場レベルでできるようになります。ぜひ一人でも多くの作業者が、Fusion 360の操作を習得できるような教育体制を整えてほしいところです。
次回は、Fusion 360導入後に出てくる課題へどう対処していくかを考えます。お楽しみに! (次回に続く)
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
» 設計現場の56.5%が3D CADを活用、2次元からの「移行予定なし」も16.7%
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製造現場でこそ使いたい! Fusion 360の魅力
個人ユーザーを中心に人気を集めるオートデスクのクラウドベース3D CAD「Fusion 360」。ホビーユースだけではなく、本格的な設計業務でも活用できるというが、果たして本当なのか? “ママさん設計者”として活動する筆者が、現場目線でFusion 360の有効性や活用メリットを探る。
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