TechFactory通信 編集後記
“やりたいこと”と“制約”のバランスで成り立つ「ミニ四駆」開発
デザイナーとメーカーとの生々しいせめぎ合い。
タミヤの「ミニ四駆」をご存じでしょうか? 今年(2018年)は公式大会のジャパンカップ開催30周年を記念して、11年振りにミニ四駆のデザインコンテストが開催されます。最優秀賞に選ばれた1作品は実際に製品化されるため、ミニ四駆フリークの間ではにわかに盛り上がっています。
さて、そんなミニ四駆好きの一人でもある筆者ですが、先日、FabCafe Tokyo主催の「ミニ四駆デザインコンテストサテライト企画 とことん語る、ミニ四駆デザイン!」というトークイベントに(プライベートで)参加してきました。
スピーカーとして登壇したのは、znug designの根津孝太さんと、pdc_designworksのやまざきたかゆきさん。お二人とも現在はプロダクトデザイナーとして活躍されていますが、過去、根津さんはトヨタ自動車でカーデザインを、やまざきさんはホンダでバイクのデザインを手掛けてきたことで知られています。お二人はプロダクトデザイナーとして活動する中、ミニ四駆のデザインを担当する好機にも恵まれ、根津さんは「売れない」とされてきた実車系マシンでヒット商品(「アストラルスター」「ライキリ」)を生み出し、やまざきさんはボディーをばらして組み替えられる「デクロス-01」を世に送り出し、ミニ四駆の新境地を切り開きました。
“やりたいこと”と“制約”のバランスで成り立つ「ミニ四駆」開発
そんなお二人のトークはどれも興味深いものでしたが、特に面白かったのがミニ四駆の製品化までのお話です。
デザインを製品に落とし込む苦労は何となく想像できる部分もありましたが、「製造コストの問題」「製造面での制約」「急な仕様変更」などの苦労話、メーカー側とのせめぎ合いの話は、実際にミニ四駆のデザインを行ったお二人でないと語れないものばかりでした。
例えば、当初「AR」という種類のシャシーを前提にデザインしていたのに、「販売店が『MA』シャシーの新車を欲しがっているから」という理由で急きょ変更指示があったり、さらにコロコロコミックで連載中のマンガの中で新車が登場してしまい、その製品化の方が先になったり、ようやく製品化が見えてきたときに「○○色の樹脂が余っているからこれで製品化しない?」と言われたりなど、生々しいお話をたくさん聞くことができました。
その中でも特に興味深かったのが、「パーツがミニ四駆の箱に収まること!」という制約のお話です。当然といえば当然なのかもしれませんが、ミニ四駆というある種規格化された製品ブランドとして、あのパッケージの中にパーツがきっちりと収まることは必須条件。そのため、デザインアイデアを過剰に盛り込み過ぎてパーツ点数がかさんだり、ランナーの数が多くなり過ぎたりすることは避けなければなりません。デザイナーとしては、“やりたいこと”と“制約”のバランスをうまくとらなければならない、腕の見せ所といえるでしょう。
やまざきさんはミニ四駆デザインのポイントの1つとして、「“クルマ”ではなく、“ミニ四駆”というものをデザインするよう意識しないとダメ。ダサさ(良い意味でおもちゃらしい部分)を残し、購入者がいじれる余白みたいなものを残してあげる必要がある」と語っていました。
ミニ四駆に限らず、身の回りにあるモノの形やデザインは、こうした作り手の思いと制約とのバランスを突き詰めた結果なのだと、このトークイベントを通じてあらためて気付かされました。
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TechFactory通信 編集後記
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