大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
躍進の兆しを見せる「RISC-V」、最初のターゲットは?(2/2 ページ)
- Inside Secure
Inside Secureは2017年11月にRISC-V向けのRoot-of-Trust Engineを提供開始。同社はこの発表にあわせてRISC-V Foundationへの加盟も明らかにしている。
- Rambus
Rambusは2018年4月、同社のCryptoManagerと呼ぶRoot-of-Trust EngineをRISC-V向けに提供開始した。
- Segger
Seggerは2017年12月に組み込みOSであるembOSとミドルウェアをRISC-Vに対応させることを発表している。
- CEVA
CEVAは2018年2月にRISC-V向けのBluetooth/Wi-Fi IPを提供開始した。
- AntMicro
AntMicroは2018年4月、MiceosemiのMi-V向けサブシステムIPを提供することを発表している。
これは筆者が把握してるだけで他にもあるかもしれないが、このような具合に各社がRISC-Vに対してさまざまなアクションを起こしている。
RISC-V、最初のターゲット
こうした開発環境あるいはプラットフォーム向けソリューションを見ていると、RISC-Vの最初のターゲットがおぼろげながら見えてくる。恐らく最初に利用されるのは、ASICあるいはASSP向けのコントローラーだろう。
昨今では(特に開発コストの高騰もあり)次第に減りつつあるASICやASSPであるが、日本国内はとにかくとして全世界的に言えばまだまだASIC/ASSPのニーズは高い。
一例として挙げられるのはレンズ交換式デジタルカメラ向け向けのISP(Image Signal Processor)である。ピークは過ぎたとはいえ、相変わらず画素数は年々増えつつあり、同時に連写性能の向上や高感度対応、ノイズ抑制/手ブレ補正などさまざまなニーズが寄せられている。結果として、引き続き先端プロセスを利用した高性能な処理エンジンが必要であり、しかも処理方法などにはカメラメーカー各社独自の味付けが要求されることもあって、汎用プロセッサでは力不足である。そこで現在も各社は専用ASICを起こしている訳だが、その一方でコストダウンのニーズも高い。
そうなってきたとき、内部コントローラーのために高いロイヤリティーあるいはライセンス料を支払うのは避けたいという話が浮上する。従来だとArm Cortex-Mクラスをコントローラーに、Cortex-Aクラスをアプリケーションプロセッサ(メニュー画面の表示などもここに含まれる)に割り当てていたわけだが、Armを使う限りロイヤリティーやライセンス料の支払いは避けられない。ではArmを使わずにフリーあるいは廉価なコアを……というと、これまでだと8bitコアはともかく32bitコアでは良いものがなかった。ところがRISC-Vならこうしたニーズに応える性能が実現できることになる。
こうしたASICの開発ではシミュレーションが欠かせないが、ImprerasのOVPを使うことでハードウェアと並行してソフトウェアの開発が行えるし、UltraSoCのDebug/Trace IPを使うことでハードウェアの開発作業も効率的に進められる。OSやコンパイラ類は上に挙げたSeggerやIAR以外にも数社が既に提供を行っているから、取りあえずの選択肢は存在する。
ASSPはまだしもASICの場合、そもそもソフトウェアの開発も同じ社内だけで行うというパターンが圧倒的に多いので、汎用プロセッサの場合に比べると選択肢が少ないことそのものは大きな障害にはなりにくい。
レンズ交換式デジタルカメラはあくまでも一例であって、他にも想定できる用途はあるが、なんにせよ汎用はもう少し後回しで、最初は特定用途向けということでマーケットが立ち上がりそうな雰囲気だ。このところのRISC-Vを巡るエコシステムの興隆振りは、そうした事実を反映しているのではないかと思う。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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