IoT時代の組み込み系ソフトウェア品質(5)
ソフトウェア品質のためにテストが「できること」「できないこと」(4/5 ページ)
組み込み系テストが品質のためにできること
組み込み系開発において、ソフトウェアテストはどの程度、品質向上に貢献するのだろうか。組み込み系で重要になる、性能効率性や障害許容性、回復性もテストで向上させることができるだろうか。エンプラ系と比較して、テストでは何が問題になるのだろうか。
職人気質と品質向上、コダワリの品質
組み込み系のテストはエンプラ系と比べて、弱いとされていた時代があった。フレームワーク導入は10年、テストは5年遅れているといわれていたが、既に過去の話である。現在、テストに掛けるコストはエンプラ系よりも組み込み系の方が大きく(*)、テスト手法の改善が必須であったこともあり、組み込み系のテストは進んでいる。もう一度言おう、組み込み系は決してエンプラ系に引けを取らないのである。
(*)IPA/SECのソフトウェアデータ白書によれば、エンプラ系のテストが全体の3割程度を掛けているのに対して、組み込み系は1/3程度のコストを掛けていることが分かる
しかし組み込み系の世界は職人気質がまだ残っており、職人はコダワリの品質を追い求めている。職人1人1人が自負(プライド)を持って、バグを決して出さないという意気込みでテストをしている。しかし、コダワリと言うと響きはよいが、アンバランスな品質であることが多い。コストを無視した品質、時間的効率性の品質は最高であるが再利用性は最低最悪、セキュリティをどこかに置き忘れた品質などが散見される。
連載の第2回で紹介したように、品質の原則はバランスである。そのためにはむやみな品質向上を求めるのではなく、バランスを求めて制御することが必要となる。この原則が組み込み系の職人気質では無視される傾向にある。コダワリを持つことはいいことだが、コダワリという響きに酔いしれてはいけない。コダワリを捨てる覚悟が必要だ。
テストは機械的にできず、職人によって恣意(しい)的に行われる部分も多い。そして組み込み系ソフトウェアは一子相伝の秘宝扱いになっていることが多く、テスト手法も公開されていないことが多い。IoTの普及で組み込み系が大規模・複雑化する中では、機械的かつバランス良く実施できるテストが求められる。それに機能や性能のテストだけではなく、セキュリティや再利用性を考慮したコードメトリクスなどについても、テストを行う必要性が生じている。
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IoT時代の組み込み系ソフトウェア品質
組み込みソフトウェアにおける「品質」とは、一体、何者であろうか。多用されている言葉であるがその実態はようとしてしれない。この連載ではIoT時代の組み込み系ソフトウェアの品質」をテーマに開発現場の目線で見ていく。出演者は情報系に籍を置く大学1年生の紅美 香美(くみ こうみ)と品質 寛容(しなしち ひろい)。
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