NIDays 2017
5Gへの対応やムーアの終わり、技術者は「5つの課題」にどう対処するべきか
日本ナショナルインスツルメンツが「技術者が直面する5つの課題」をまとめた「NI Trend Watch 2018」を発表、その課題へどのように対処していくべきかのヒントを紹介した。
日本ナショナルインスツルメンツが、技術者が向き合うべき技術トレンドをまとめた「NI Trend Watch 2018」を発表。同時に開催した年次イベント「NIDays 2017」では、取り上げられた技術トレンドへどのように対処していくべきかのヒントが語られた。
取り上げられた5つのトレンドは「5Gの進化に追従できるテストプロセス」「ムーアの法則の終わりとその先の未来」「モノ(Things)を適切に管理するための3要素」「自動車の電動化」そして「機械学習がもたらすイノベーション」だ。
5Gは現在の4G(LTE)よりも高速大容量である事に加えて、IoT向けを考慮した応答速度も確保される予定である。2020年の本サービス開始に向けた作業が行われているが、2017年秋の時点で標準化は完了しておらず、半導体デバイスの開発・製造現場は標準化作業を待ちながら開発するという困難に直面している。
この5Gに際しては大規模MIMO、ミリ波伝送、異なるバンドや方式をサポートするMulti-RAT(Radio Access Technology)、高密度化やネットワーク仮想化などを用いた新たなネットワークアーキテクチャが必要とされる。これらの課題に対しナショナルインスツルメンツは、ソフトウェア無線のアーキテクチャを5Gのテストシステムに応用することで、処理性能と柔軟性を提供する考えだ。
半導体は18~24カ月で処理能力が倍になるという「ムーアの法則」の終わりは、動作クロック向上が頭打ちになってきた頃から言われているが、コンピュータシステムとしてはマルチコア化(マルチプロセス化)やヘテロジニアス化によって、その速度向上を保っている。ただ、マルチコア/ヘテロジニアス化は高速I/Oの必要性を高めた。
3次元配線によるヘテロジニアスな実装を例にすれば、1つの半導体にアナログやRF、ロジックなどが混在することになる。こうした混在環境のテスト難易は上昇するが、ベルギーの研究機関、IMECではナショナルインスツルメンツの半導体テストシステム(STS)でマイクロバンプの自動テストを行う仕組みを構築し成果を上げているという。
モノ(Things)を適切に管理するための3要素としては、「リモートシステム管理」「ソフトウェア構成管理」「データ管理」の3つが問題点として浮上する。いずれもIoTの導入によって求められる成果を得るための“基礎”的な存在であり、ナショナルインスツルメンツでは「SystemLink」や「Data Management Software Suite」といったプラットフォームやエコシステムで対応していくことが必要だとする。
EVへのシフトは世界的な潮流だが、開発に際してガソリンエンジン車と最も違う要件の1つが動力源の変更だ。電気自動車は電力を消費して走るが、バッテリーによって電力を供給することもできる。また、内燃機関に比べてモーターは反応速度が高速であるため、ECU制御はよりシビアなものになる。
電化に先行して普及の兆しを見せているADASは「異分野の技術協力」(ナショナルインスツルメンツ 郭氏)であり、安全性に直結する機構であるためにテストにも慎重さが求められる。ADASで利用されるセンサーフュージョンはセンサーデータの同期が重要であるためにHILでの開発検証が有効となるが、郭氏はナショナルインスツルメンツ製品を利用すればリアルタイムでのHILテストが可能になると有効性を述べる。
機械学習のイノベーションについて、ナショナルインスツルメンツの岡田一成氏は「システムだけでIoTは実現せず、基礎になるデータがあってこそ」と、データ取得(計測)の重要性を強調する。ディープラーニングを含む機械学習は、予知保全や製造予測といったIIoTの成果として語られる領域に適した技術であるが、大本になるデータの計測が不十分では真価を発揮しない。
ナショナルインスツルメンツは計測ソリューションに強みを持つ企業であり、近年ではテストシステムのソフトウェア化も積極的に行っている。開発の複雑性が増す中、ソフトウェア定義による柔軟性あるプラットフォームは、その複雑性に対処する手段の1つになり得る。
「プロセッサやFPGA、ADC変換の効率、ネットワーク速度など、技術進歩は急速に進む。それぞれの進化は複合することで、追い付けないような発展であるようにも見える。それに追従するには、プラットフォームへの長期的な投資――四半期ではなく10年単位の長期的な視野に沿った投資――を続けることが必要だ。この長期的な取り組みこそNIの掲げ、実践してきたビジョンだ」(米National Instruments マーケティングディレクターのルーク・シュライヤー氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
特集(エレクトロニクス)
「エレクトロニクス」関連の特集記事です。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
CAE解析をAIエージェントに任せてみた 人は何を担うのか
-
2
高度な半導体/電子デバイスの非破壊不良解析を支える「3D X線技術」に迫る
-
3
「ロボットアーキテクチャ」実態調査2026年版:現在の課題と優先事項を解説
-
4
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
5
スマート工場動向調査2026
-
6
【読者調査結果】製造業の脱炭素動向調査2026
-
7
「見て覚えろ」が通じない時代 製造業の保全技術はどのように継承すればよい?
-
8
SiC・GaN時代のパワー半導体開発、信頼性評価と故障解析の課題にどう対応する?
-
9
動き出したファナックの「フィジカルAI」
-
10
はじめての化学工学まとめ(Part1)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー