日本NI LabVIEW NXG
“技術の尻尾”を計測で捕まえるには
NIの「LabVIEW」は計測制御分野の開発環境として広く使われているが、進歩する技術に追従するため、ついに次世代製品「LabVIEW NXG」が投入された。「プログラムレス」をうたうLabVIEW NXGについて、日本NIが説明会を開催した。
完全自動運転や5Gネットワークの例を見ても分かるよう、言うまでもなく技術の進歩、イノベーションの速度は加速しており、一部においては人間の適応能力を追い越しつつあるという意見もある。「速く走る」ことを目的に自動車技術の粋を集めたF1カーから、シフトペダルがほぼ姿を消したことに通じる出来事がさまざまな場面で起こっている。
これを図式化すれば、技術の成長曲線は右に向かうほど急激に上昇し、対する人間の適応能力はその急激なアールについて行けず、技術の成長曲線が尻尾のように飛び出した状態になるだろう。
このいわば“技術の尻尾”を計測/制御分野におけるグラフィカル開発環境「LabVIEW」を中心としたシステムでキャッチアップするのがNational Instruments(NI)だ。NIの日本法人である日本ナショナルインスツルメンツは2017年7月10日、「LabVIEW」の次世代製品「LabVIEW NXG」など新製品に関する説明会を開催した。
プログラムなしで計測「LabVIEW NXG」
「LabVIEW NXG」は2017年5月に発表された、LabVIEWの次世代製品である。従来のLabVIEWにおいては測定についてプログラムを書くことを前提としていたが、新製品では「テストや計測のエンジニアがどれだけ容易に測定できるか」に力点が置かれており、ハードウェア自動検出や対話式パネル、データキャプチャー/解析ツールの内蔵、GUIの大幅強化などが図られおりプログラミングなしでの計測を可能としている。
提供中のバージョンは「1.0」だが、既存のLabVIEW(最新版は「LabVIEW 2017」)に比べると機能は限られており、FPGAやリアルタイム制御などには対応しておらず、計測機を接続しての利用にとどまる。ただ、既に2.0のβ提供が開始されており、機能強化は随時進められていく予定となっている。
説明会では、「A/D変換ボード(myDAQ)をPCにUSB接続、変換ボードにiPhoneから音声を入力することでアナログ音声の測定を行う」というデモが行われた。ハードウェアの自動認識機能も備えているため測定開始までの手順は非常に簡略化されており、1分もかからず測定に着手できた。測定のあとにプログラミングすることも可能であり、これまでのLabVIEWでは実現していなかった「まず測定し、必要であればその後にプログラミングする」というワークフローを提供する。
LabVIEW NXGはLabVIEWの別ライン製品ではなく、互換性を持つ上位製品と位置付けられている(LabVIEWで作成したプログラムをそのまま使うことはできず、変換する必要がある)。加えて「次世代製品」と位置付けることもあり、「新プロジェクトであればNXGを推奨したい」(同社)との姿勢を示すが、「ユーザーにはまだ慣れてもらう段階と認識している」ともしており、段階的な移行を意図しているようである。
イーサネットにリアルタイム性を
同社が2017年春に発表したのはLabVIEW NXGだけではない。自動テストシステムの基本プラットフォーム「ATE基本コンフィギュレーション」や5G開発に対応した28GHz帯ソフトウェア無線ソリューション、ベースバンド信号・解析両対応の計測機など数多い。これらは一見すると関連性を持たないように見えるが、「技術の進歩をデバイスやサービスに反映するためには、データの取得と計測が重要である」という同社の姿勢を反映したものといえる。
データ取得と計測の正確性という観点では、IEEE 802.1 TSN(Time Sensitive Networking)対応製品の事例も興味深い。IEEE 802.1 TSNは標準イーサネット規格を拡張したもので名前が示すよう、低遅延を特徴とする。同社はTSNの規格策定に参加しており、TSNにて採用されている規格の一つであるIEEE 802.1 ASを採用したcDAQ-9185/9189を2017年5月に発表している。
事例として紹介されたのは大型工作機械のモニタリング。大型機械の各所にセンサーを取り付けてリアルタイムモニタリングを行うと考えた際、部品代の他にも「配線コスト」「センサーの同期」「セットアップ時間」といった問題が発生し、大型クレーン車の場合は従来300人月が必要であったという。ここにNIのTSNシステムを導入したところ、配線コストを50%、セットアップ時間を80%改善したという。
また、現在は限定的に提供されている「SystemmLink」も興味深い(Early Access Programとして提供されている)。これはネットワーク接続された計測機を集中管理するのみならず、計測機を駆動するソフトウェア、得られたデータも含めて管理するもので、民間宇宙開発企業であるBLUE ORIGINに導入されている。
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