FIELD System
ファナック、稲葉会長が語る「FIELD System」の全容とその狙い(2/2 ページ)
FIELD Systemはつないで動かす
FIELD Systemは「FANAC Intelligent Edge Link & Drive system」の略であり、データを収集して分析するだけではなく、名前の通り、エッジに位置する作業機器を「接続」して「動かす(ドライブ)」システムであることが大きな特徴である。
そのために大前提である接続性に関する柔軟性は非常に高い。作業機器にイーサネットポートがあればケーブルにてつなぐだけで接続でき、RS-232Cしかない機械ならばコンバーターを介して接続すればよい。通信規格についても、MT connectやOPC UAなどをサポートしており、これらを利用する機器はスイッチ経由でつなげることができる。
つまり作業機器を新型へ入れ替えることなく「つながる」状態にすることが可能であり、それはファナック製品であるどうかも関係ない。複数社の設備であっても接続可能である。これは2016年のJIMTOFにて同社が紹介しており、そこでは80社/250台の機械を接続しての見える化(状態監視)が行われていた。
FIELD Systemは接続された機器の制御(ドライブ)までも行うシステムであるが、機能の実装は段階的に行われる。まずは見える化による分析や改善提案、予防保全、故障予測が提供される。これが第1ステップであり、2018年以降を予定する第2ステップとしてはディープラーニングなどを利用したインテリジェント化が計画されている。
見える化や予防保全はFIELD Systemに、アプリケーションというかたちで提供される。現在は見える化や分析を行う「iPMA」、予防保全を実現する「iZDT」、工作機械の加工時間を予測する「加工時間予測」、作業者の権限管理や操作履歴を管理する「個人認証・履歴管理」の4つが用意され、いずれも用意されるアプリケーションストアからネットワークで購入できる。
現場における接続の物理的な中核は、ファナック製の産業用PC「FIELD BASE Pro」やシスコシステムズのUCS(Cisco Unified Computing System)などが担う。ファナックは産業用PCの他、OPC UA対応コンバーターなども用意する。アプリケーションはシステムへのインストールという形をとるため、既存機器であってもつながりさえすれば機能の向上を期待できる。
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AI「FANAC AI」
実現する「機能」に相当するアプリケーションは現時点4本であるが、サードパーティーからのアプリケーションも登場が予告されており、2018年中にはFIELD Systemを共同で推進するPreferred Networksが中心となって開発する機械学習・深層学習対応アプリケーションも投入される計画である。
FIELD SystemにおけるAI「FANAC AI」は、機械単体の動作を効率化するものではなく、ネットワークを活用することでデータ共有や分散処理、全体最適を目的とする。深層学習の製造業への応用としては「バラ積みロボットの学習」が知られるが、FANAC AIではこのような学習結果を複数台のロボットで共有することで、乗数的な効率の実現を目指す。
「バラ済ロボットのティーチングに深層学習を利用すれば、熟練者が2日かかるティーチングを8時間に短縮できる。この経験は機械の間で共有できるので、(複数台の機械が共有すれば)かけ算で効率は上がっていく。これこそが生産技術のデジタル化だ。後継者への技術移転を容易にするための方策として有効ではないかと考えている」(稲葉氏)
深層学習を利用したアプリケーションとして稲葉氏は予防保全や熟練者のスキル継承、検査の高度化、セルや工場の稼働条件最適化、人を含む機械同士の高度な協調動作など挙げる。
2017年10月に日本国内向けサービスを開始したFIELD Systemは、2018年3月末までの深層学習機能対応(FIELD Base ProはGPUの追加搭載で対応)、2018年4月以降に海外展開とその範囲を拡大していく。稲葉氏は「とにかく“止めない”ことが大切。製造業全体のレベルアップに貢献したいと考えている」と語り、メーカーや機器を問わないプラットフォームの推進によって製造業の発展に貢献したいとした。
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