宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(17)
IoT機器はどうやってアップデートが行われるべきか? 究極の手法を考察する(1/2 ページ)
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策。しかし、堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学をお届け! 今回は、IoT機器のアップデートのあるべき姿(あるべき手法)について考察してみたいと思います。
あなたの企業が一般消費者向けの製品を提供しており、かつその製品がインターネットに常時接続するようなものだったとしたら、それは立派な「IoT機器」です。IoT機器である以上、どこかに脆弱(ぜいじゃく)性が残っていると考えるべきであり、それを「アップデート」で改善しなければなりません。
スマートフォンやタブレット端末に代表されるようなコンシューマー製品を通じて、私たちは日ごろから製品のアップデートを体験しています。今回は製品の利用者、「受け手」の視点から、アップデートのあるべき姿(あるべき手法)について考察してみたいと思います。
手法その1:アップデートを提供しない
今の時代、インターネット接続機器であるのに「アップデートが行われない」というのは、“論外”といえるのではないでしょうか。ただし、用途が限られ、製品寿命もあらかじめ決められているような安価なIoT機器の場合、こうした手法がとられる可能性も十分に考えられます。ある意味「使い捨て」に近いアプローチではありますが、限られた使用であっても脆弱性を改善できないことに変わりありませんし、そもそもモノを大切にする日本人の気質には合わないような気もします。
手法その2:アップデートを公式サイトでお知らせする
製品のアップデートは行うのですが、そのお知らせを公式サイト上で行うというアプローチです。残念ながら、これもあまりいい手法とはいえません。それは、皆さんの家庭にあるルーターの公式サイトを、どれくらいの頻度で自主的にアクセスしているかを振り返っていただければ分かるかと思います。お知らせをしても、それが利用者に届かなければ意味がありません。
手法その3:アップデートをメールでお知らせする
こちらもすぐに思い浮かぶ方法でしょう。製品購入者に利用者登録をしてもらい、宛先のメールアドレスに対して通知するというやり方です。もちろん、そのメールには懇切丁寧な説明を付けて……。はい、残念ながら今やこの方法も形骸化してしまっていると思います。LINEをはじめとするメッセンジャー系アプリの登場で、個人のメール利用率は低下しています。仕事用のメールアドレスならばともかく、個人のメールアドレスだとそのまま埋もれてしまい、アップデートのお知らせに気が付かないという可能性も十分にあり得ます。
手法その4:アップデートを自動的にアプリ内で通知する
次は、管理アプリなどに通知の仕組みを取り入れ、アプリを起動するたびにアップデートがあれば通知するという手法です。例えば、ルーターなどであればスマホ向けに管理アプリをリリースする必要があるかもしれませんが、これがあれば利用者にプッシュ通知ができ、インストールを適切に促すことが可能です。
しかし……。これも個人的には苦労の割にうまくアップデートまで至らないと考えています。スマホのプッシュ通知が激しいアプリを見たら、皆さんは「通知を止める」ことを真っ先に考えるでしょう。一度通知がストップされてしまうと、設定を見直さない限り二度と通知が利用者の目に触れることはありません。アップデートのお知らせをプッシュ通知するというアプローチは今っぽい方法のように感じますが、筆者的にはあまり良い手だとは思えません。
手法その5:アップデートを自動的にダウンロードする
これは、アップデートがあったらアップデートファイルを自動的にダウンロードしておくという手法です。後は利用者が[アップデートする]ボタンを押せばよいという話です。
一見、利用者のことを考えたさえたやり方のように思えます。しかし、これも結局は利用者の意志次第で、「また後で」と放置されてしまうのが目に浮かびます。皆さんもWindows Updateをどうしているのか胸に手を当てて考えてみてください。
これに関しても、「じゃあ、通知を出し続ければいいのでは?」と考えるかもしれません。しかし、定期的に表示される画面やメッセージは、多くの場合、[キャンセル]ボタンを押すということがルーティン化されてしまい、いつしか目の前から脳内消去されてしまうはずです。
では、一体どうしたら利用者はアップデートをしてくれるのでしょうか? どれだけ親切にしても、どれだけ仕組みを考えたとしても、私たち利用者はなかなかアップデートをしてくれないのです……。
八方ふさがりのように感じますが、実は、この解決手法は意外と簡単です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届けします。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界の脱炭素はなぜ進まない? 実務で直面する“壁”の乗り越え方 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収するには? エネルギー&CO2削減の成果を出す秘訣 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
計測器アプリケーションにおいて7.5桁の精度を実現する方法
-
3
ものづくり白書2026を読み解く
-
4
ChatGPT Enterprise活用ガイド:業務時間を1万7600時間削減したMIXIの事例も
-
5
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
6
AI×DXで効率化する設備保全まとめ
-
7
「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは?
-
8
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
9
脱炭素投資をすぐ回収するには? エネルギー&CO2削減の成果を出す秘訣
-
10
動き出したファナックの「フィジカルAI」
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー