TechFactory通信 編集後記
PLMなくしてIoTの真の価値は引き出せない?
データの管理も重要です。
ご存じの通り、製品設計・開発の現場において「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」を活用しようという動きが活発化しつつあります。おそらく、その多くが製品の品質向上や生産性向上といった“さらなる改善”に向けた取り組みからくるものではないでしょうか。
しかし、IoTの利活用によるメリットはそれ以外にもあります。例えばIoTと、AI(人工知能)やVR(仮想現実)/AR(拡張現実)といったデジタル技術を掛け合わせることにより、作業者の健康管理や安全対策、生産設備の予兆保全、ベテラン技術者のノウハウ継承、アフターサービスの支援、設計レビューの効率化といったさまざまなメリットも享受できます。
こうしたIoTのメリットを生み出す源泉が「データ」です。
IoTにおけるデータというと、センサーデバイスから収集した測定値、機器や装置が吐き出すログデータなどがイメージとして頭に浮かびます。しかし、それだけではありません。一般的な製品設計・開発の現場であれば、製品の企画書、製品のデザインスケッチ、仕様書、形状を決める3Dデータ、図面(2Dデータ)、BOM(部品表)、ソフトウェアのソースコード、検証・テスト結果といった無数のデータが存在し、それらもIoTのメリットを生み出す源泉となり得るのです。
PLMなくしてIoTの真の価値は引き出せない?
このような考えの下、製品設計・開発現場における「PLM(Product Life cycle Management:製品ライフサイクル管理)」の重要性を説いているのが、PTCです。製品のライフサイクルを管理するとは、「企画」「構想設計」「詳細設計」「生産準備」「生産」「アフターサービス」といった、製品が生み出され、市場で活用され、そして最終的に廃棄・リサイクルされるまでの流れの中でやりとりされる、さまざまなデータを一元的に管理する仕組みのことを意味します。製品に関するあらゆる情報がPLMシステムにより一元管理されることで、製品ライフサイクルの各段階において、さまざまな関係者が必要な情報を、必要なときに入手できるようになり、複数拠点間で協調的に進められるグローバルでのモノづくりにも役立てることができます。
ここ最近の同社の話題というと、IoTプラットフォーム「ThingWorx」が中心ですが、何を隠そう同社CEOのジム・ヘプルマン氏はPLM製品「Windchill」の生みの親です。同社は、PLM(Windchill)が文字通り、製品ライフサイクルに関わる全てのデータの受け皿となり、業務プロセスの見える化を実現すると同時に、IoT基盤(ThingWorx)や解析基盤と連携することで、前述したデジタル技術(ARなど)との融合によるメリットを享受できる「インダストリー4.0」時代の真のPLMを目指そうとしています。
先日、同社のPLM/ALM製品責任者が来日した際、PTCジャパン 執行役員 専務の成田裕次氏は「製造設備や出荷後の製品から取得した情報(稼働状況、利用状況)を分析・解析することで得られたデータ(新たな情報)は、PLMで一元管理して次の製品設計・開発のループに生かすべきだ。そうしてこそ、製品設計・開発の現場でIoTの価値を発揮できる」とコメントし、IoTを活用した製品の設計・開発にPLMが必要不可欠である点を強調しました。
PLMの世界市場規模は、全体として年平均成長率6.5%程度で伸長しており、航空宇宙、自動車、ハイテクといった分野が市場を後押ししているといいます。そして、IoTの本格的な利活用に向けた準備の一環として、PLMを導入しようという動きが各分野で出始めているそうです。そういった意味でも、IoTプラットフォームのThingWorxと、さまざまな業界での豊富な導入実績を誇るPLM製品Windchillの双方を所有するPTCは、その存在感を大いに発揮していくものと思われます。
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TechFactory通信 編集後記
「モノづくり総合版 TechFactory通信」に掲載された、TechFactory担当者による編集後記の転載記事一覧です。
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