TechFactory通信 編集後記
創業100年を控え、試されるパナソニックの本気度
家電中心の総合電器メーカーとして発展してきたパナソニックが、B2Bに重きを置いた改革を進めています。2018年に創業100年を迎える同社の「本気」が問われています。
1918年(大正7年)に松下電気器具製作所として創業して以来、テレビをはじめとした家電製品を中心とした総合電器メーカーとして発展してきたパナソニックですが、近年では「B2CからB2Bへ」を掲げた大きな事業戦略の改変を進めており、今春もさらなる変革を推し進めようとしています。
パナソニックは2010年代に入ってからプラズマテレビ事業の失敗などで苦境に陥りましたが、2014年度に設定していた中期経営計画を1年前倒しで達成。翌2015年度からの4年間は大規模6事業部がリードし、売上高10兆円を目指す成長ステージと位置付けていました。しかし、思い描いていたような成長曲線は描けず、2014年から2017年の売上高はいずれも8兆円に届かず、停滞期に突入していました。
ですが、停滞の最中も手をこまねいていたわけではありません。技術開発の側面では「エネルギー」「IoT/ロボティクス」の領域を重点領域とし、同時にビジネス面では徹底した顧客主義を掲げハードありきからの脱却「ことづくりファースト、ソフトウェアセカンド、ハードウェアラスト」の事業改革を進めてきました。
そして、その改革をさらに推進する施策として2017年春に発表されたのが、新たな組織改革と外部からの人材登用です。
組織改革については、グループ全体に関わる研究開発やデザインを担ってきた「テクノロジー&デザイン部門」を「イノベーション推進部門」に変更するとともに、同部門の中へ新たに「ビジネスイノベーション本部」を設けました。代表取締役専務の宮内義幸氏が指揮を執るこの本部は、現行の37事業部と同等レベルに成長し得る事業を数年内で複数創出していくという大きな目標を掲げます。
これは「既存カンパニーを伸ばすだけでは、これからの時代の成長は見込めない」(宮内氏)という決意の表れであり、新設部署はカンパニー制度の中では生まれにくいカンパニー間利益に反するような破壊的なイノベーションすらもビジネスとして推進するための役割を担います。既に複数のプロジェクトが動き出しており、その1つは「従来のようなモノ売りではなく、サービス提供型事業」(宮内氏)として姿を現すとしています。
もう1つの外部人材登用については、ビジネスイノベーション本部の副本部長として元SAPジャパンでバイスプレジデント チーフイノベーションオフィサーを務めた馬場渉氏を登用。さらには、日本マイクロソフト 執行役員会長を務めた樋口泰行氏を専務役員として迎え入れました。
樋口氏は大学卒業後に松下電器産業(現パナソニック)に入社、エンジニアとして勤務した後にボストンコンサルティングや日本ヒューレット・パッカード、ダイエー、日本マイクロソフトなどで経営者としてのキャリアを積んだ人物です。樋口氏はパナソニックで新設されたコネクティッドソリューションズ社のトップとして、B2B向けのIoTソリューションの事業推進を担うことになっています。
迎えられた人物はこの2人だけではありません。立命館大学の谷口忠大准教授をAI技術の顧問として招き、さらには先だって2016年1月には著名アナリストであるメリルリンチ日本証券の片山栄一氏を戦略事業担当の役員として迎えおり、これまでのパナソニックでは手薄とみられていた人材を多く外部から募っています。
AI技術については谷口氏の起用のみならず、積極的な技術者採用を今後も続けていくとしており、「外部からの登用も行うが、“AIネイティブ”な世代である新卒採用も積極的に行ってきたい」(宮内氏)と既存人材の登用だけにとどまりません。
2018年には創業100年を迎えるパナソニックは、このような思い切った「本気」の組織改革と人材登用で成長を目指しますが、ここ数年、売上を見れば停滞期にあることも事実です。2017年はパナソニックの「本気」が試される1年となりそうです。
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