IDC 世界AR/VRヘッドセット市場規模
「ゲンバ」がAR普及を加速させる、2018年から急加速(2/2 ページ)
AR普及を加速させる「ゲンバ」はどこだ
VRは没入体験の提供を目的とするため、用途はゲームや映画などのコンテンツ鑑賞が主となる。臨場感あるスポーツ観戦や現地にいるかのような旅行体験もVR機器の活躍する領域だろう。現在はFacebook傘下であるOculusは“バーチャルSNS”のような活用方法も模索している。
一方でARは現実の拡張を目的とするため、利用者による「現実世界への働きかけ」まで視野に入れたデバイスおよびサービスも含まれる。その分だけ要求は複雑となるが、「ARは新たなHMI(Human Machine Interface)として認識され、デジタルと人の関わりを大きく変える可能性を秘めている」とライアン氏はARの秘める可能性を評価する。
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前述したよう、VRに比べてARは構造的に複雑であり、必要とするデバイスやシステムといった観点を含めて考えれば早期の価格低下も見込めず、出荷数量の急激な伸びも期待できない。事実、IDCの調査によればAR機器の四半期出荷実績はここ数年で最も多かった2016年第2四半期ですら4万台程度であり、2016年1年間で約1000万台を出荷したVR機器に比べるとその市場規模の小ささがよく分かる。
なお、IDCの調べによると2016年第3四半期時点で高いシェアを持つAR機器ベンダーはGarmin、Microsoft、エプソン、Recon Instruments、Vuzixといった顔ぶれである。ただ、Garminは自転車向けサイクルウェア「Varia Vision」、Microsoftは開発者向け「HoloLens」、エプソンは「BT-200」といった主力製品が出荷数の大半を占めており、1製品のヒットでシェアは逆転する、市場としては非常に初期の段階であることも浮き彫りになっている。
ARを利用する用途に関してもVaria Visionのようなコンシューマー向けと、Vuzixなどが得意とするビジネス向けが混在する状況が続いている。開発者向けが出荷開始されているHoloLensについてMicrosoftは用途をB2B/B2Cのように区別していないが、開発環境である「Windows Holographic Platfoem」を「VR/ARのための産業プラットフォーム」としており、ライアン氏は「今後5年間はビジネス向けがAR市場の大半を占めるだろう」という。
ライアン氏は具体的なビジネス向けARのユースケースとして、手術補助などの医療や製造現場における作業補助などを挙げる。そうした領域ではその領域を熟知したベンダーが「特定ソリューション向けARデバイス/ソリューション」を投入することも想像できるため、向こう5年間においても汎用性のあるハードウェアに目的別ソフトウェアという組み合わせの製品を提供しているGarminやMicrosoft、エプソンらがシェア上位を占めるかどうかは分からない。
ただ、VRに続いてARも着実に市民権を得ようとしている。先に挙げた企業は製品及びソリューションの開発を続けており、GoogleはAR技術対応プラットフォーム「Tango」を公開、Lenovoが対応端末「Phab2 Pro」を用意している。AppleはARに対して沈黙を続けているが、PrimeSenceやmetaioといったAR関連企業を買収しており、動向に対して無関心とは思えない。これらの動向を勘案し、IDCでは2020年のARヘッドセット出荷台数を1400万台超と予測している。
このように期待の高まるVR/ARであるが、ハードウェアとソフトウェア(コンテンツや開発環境も含む)の双方がなければ機能せず、関連するプレーヤーの数は非常に多い。そして、レファレンスとも呼ぶべきデバイス(ソリューション)が定まっていないため、状況としては混沌としている。ライアン氏は「VR/ARのエコシステムは急速に拡大しており、明確な勝者は存在しない。今後は企業間の連携が重要になるだろう」と述べた。
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