ET2016
IoT時代のセキュリティ実装、製造側は何を指針とすべきか(2/2 ページ)
IoTセキュリティに見られる特徴として、徳田氏は「攻撃側のコストが低い」「攻撃側の人数が多い」「攻撃側の方が、スピードが速い」といったポイントを挙げ、現在では攻撃側に有利な状態であると説く。その状況に対応すべく内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を始めとした政府や関連機関、セキュリティベンダーも動いているが、専門家に任せるのではなく製造者や経営者、利用者側もIoTセキュリティの意識を持つべきだと主張する(関連記事:IoTデバイスは「多動開省」、組み込みLinuxベンダーが考えるセキュリティ対策)。
製造側であれば、運用/保守/廃棄といった企画の段階から全てのライフサイクルを見据えて、IoTセキュリティやプライバシーを意識したIoT機器やサービスになることを目指した「セキュリティ・バイ・デザイン」の考え方が有用であるし、一般利用者であればIoTセキュリティに防御側として参加する「ディフェンダー・ムーブメント」やIoTリテラシー教育の普及などが有効な施策となる。
「個人的には経営者層にも重要であり、IoTセキュリティのリスクを意識して欲しい。会社のコストではなくリスクに対する投資であり、欧米の会社では取締役会で既に重要な話題の1つになっている」(徳田氏)
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「製品分野別セキュリティガイドライン」
デバイス製造側が「セキュリティ・バイ・デザイン」に留意した製品企画開発を行うとしても、IoTとは製品単体で完結するものではないため、コネクテッドサービスなどの場合、「セキュリティ実装をどの範囲まで、どのレベルまで行うかといった問題」は課題として残ることになる。まだ業界ごとに必要なセキュリティのレベル感というものも定まっていないため、同ジャンルの製品であっても、機器によってセキュリティレベルに違いが生じることになるのが現状だ。
電力や電車といった社会インフラのIoTセキュリティに関しては政府の「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)において重要点と認定されており一定以上のレベルにてセキュリティ実装を行う方向性が確立されているが、それ以外の身近なIoTデバイスについては前述したよう、現時点では設置された後、管理が行き届かなくなることがあるため、場合によっては「野良IoT」と化してしまい、場合によっては攻撃される(攻撃手段としても利用される)可能性もある。
「IoTが普及すると“何がつながっているか分からない”状況になりうるため、一般的な視線からすれば“見えない”“痕跡がない”“気付かない”ままに攻撃されている可能性がある。ロギング用メモリを積むという手法も考えられるが、製品開発の立場からは全ての機器に簡単には設置されないだろう」(徳田氏)
そこで徳田氏が紹介したのは、重要生活機器連携セキュリティ協議会(CCDS)の「製品分野別セキュリティガイドライン」だ。これは情報処理推進機構(IPA)の発行した「つながる世界の開発指針」をベースに、「セキュリティ・バイ・デザイン」の考え方を広くIoT製品の開発側へ普及させることを目的としたドキュメントだ。
現在は第1版となっており、基本的な指針と「車載」「IoT-GW」「ATM」「オープンPOS」の4分野それぞれの視点で脅威とリスクを想定した内容となっている。基本的なガイドライン提示が主な内容であり、リスク分析や法的責任関係の明確化までには踏み込んでいないが、「まずはガイドラインの提示が最優先と考えた」(徳田氏)という方針で、CCDSのWebサイトから公開されている。
「IoT時代になると、組み込み機器であっても思わぬデータが残っている可能性がある。CCDSのガイドラインはデバイス製造側だけではなく、使う側とサービス側にも読んでもらいたい内容にしてあるので、ぜひ一読頂きたいと思っている」(徳田氏)
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