CAD、CAE環境をVDIへ移行するための手引き(4)
デスクトップ仮想化「導入までの流れとポイント」【後編】(2/3 ページ)
問題なくストレスなく業務ができるか、導入前検証で適合を確認
導入前検証では社内環境内に実際にデスクトップ仮想化システムを構築し、実業務での適合性を確認する。ポイントは(1)動作可否、(2)パフォーマンス、(3)運用方針策定の3つだ。
(1)の動作可否では単純なアプリケーションの動作確認はもちろんのこと、3Dマウスをはじめとする入力装置との連携など、業務に必要な全ての要素が正しく機能することを確認する。筆者の経験ではアプリケーションの動作自体に問題はないものの、入力装置との連携がうまくいかないケースがあった。
画面の表示処理に関しても注意が必要だ。デスクトップ仮想化では画面転送プロトコルにより画面情報を送受信している。このため、画面品質や表示までの挙動がワークステーションと異なることがある。ネットワーク環境によっては、CADのモデルを動かしたとき、まず解像度の荒めの画像が表示されて徐々に高品位に推移したり、微細なラインが不明瞭になったりすることがある。こういった差異が許容できるか否かにも注意が必要だ。
(2)のパフォーマンスは業務環境にて、実際に業務を実施する利用者本人の評価が欠かせない。画面表示のレスポンスは数値化が困難であり、さらには利用者ごとの主観に依存するため、利用者へのアンケートなどで適正なサイジングを決定するのが妥当である。またネットワーク環境の影響も看過できないため、実際の業務環境での評価が重要だ。特に海外などの遠隔地からの利用を計画している場合は、必ずリモートサイトから試用すること。ネットワークの帯域割当もさることながら、ネットワーク遅延が操作感に与える影響が著しいため、結果が芳しくない場合はWAN環境の見直しを進めることが肝要だ。
本検証は利用者の協力なくては成し得ない。管理者単独で評価し、現場導入後に利用者からクレームが上がるという事案が多数見受けられる。繰り返しになるが、実業務を担当する利用者が、実際の業務環境で納得するパフォーマンスを得られるか、利用者自身に評価させる必要がある。
(3)の運用方針策定はデスクトップ仮想化環境の運用の全貌を洗い出し、今後の運用体制の算定を行うために必要だ。しかし、それだけでは不十分である。導入前検証をより実りのあるものにするためには、最低限の運用項目について実際に試行することが不可欠だからだ。
本検証の成否は検証システムを利用者にどれだけ実業務で利用させるかによる。利用者は日々業務に追われている。面倒な新システムの評価に力と時間を割いてくれるほど協力的な利用者はそう多くないだろう。現状のワークステーションを利用者の机上に残したままでは検証システムの試用が浸透しない。このため、思い切ってワークステーションを回収してしまおう。半強制的に新システムを試用することになるため、当然、トラブル回避を目的とし、問い合わせ、問題管理をはじめとする最低限の運用を利用者に提供することが必要だ。最低限必要となる項目はワークステーションの運用でもおなじみの6項目である。
- 問い合わせ対応
- イベント管理
- インシデント管理
- 問題管理
- コミュニケーション管理
- デスクトップテンプレートの展開手順
導入計画に携わっている面々からすれば導入前検証という認識であるが、業務で検証システムを試用する利用者からすれば本番利用と変わらない。この認識のずれを生まないためにも上記6項目の運用を併せて試行し、利用者との信頼関係を深めておくことが、円滑な本番システムの導入につながる。
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CAD、CAE環境をVDIへ移行するための手引き
設計・解析の現場でも、デスクトップ仮想化の一方式であるVDIに対する関心が高まっている。連載「CAD/CAE環境をVDIへ移行するための 手引き」では、VDIの基礎解説や導入メリット、運用ポイントなどを分かりやすく解説していく。◎こんなキーワードに興味のある方にオススメ:[デスクトップ仮想化][VDI][CAD][CAE][導入][運用][移行]
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