組み込み/IoT機器開発で使えるWindows(3)
小型・低コストな機器開発に適した「Windows 10 IoT Core/Core Pro」(3/3 ページ)
有償版のCore Proエディションとは?
さて、次に有償版のCore Proエディションの詳細を説明します。
先に解説した通り、Coreエディションは「ターゲットボードごとのビルド済みOSイメージ」が提供されるのに対し、Core ProエディションではOSイメージを自分でビルドするための「素材集」がOSキットとして提供されます。
このOSキットには、OSイメージの作成に必要な基本モジュール一式がそろっており、OSイメージのビルドには、「Imaging and Configuration Designer(ICD)」というツールを使います。
エディションによる違いをプラモデルで例えるなら、Coreは完成済みプラモデルを手に入れるイメージ、Core Proは自分でプラモデルを組み立てるイメージです。
Core Proがサポートするターゲットボードは基本的にCoreと同じ4種類ですが、ターゲットボードのハードウェア構成を指示する「Board Support Package(BSP)」ファイルや、OSに搭載する機能を設定するための「Feature Manifest(FM)」ファイルを編集することで、OSイメージのカスタマイズやターゲットボード以外のカスタムボード向けOSイメージの作成が可能です。
これらの具体的な手順を知りたい場合は、下記参考情報の「Creating a Windows 10 IoT Core Pro Image」や「IoT Core manufacturing guide」のページを参考にしてください。
CoreとCore Proの違いは?
CoreとCore Proの違いとして、提供方法が異なる点は紹介した通りですが、OSの機能面の差分としては現在のところ次の1点のみです。
Coreは、OSの機能およびセキュリティを強化するための更新プログラム(Windows Update)により、定期的にアップデートが発生します(Coreの使用許諾上でも、自動更新プログラムを受け取ることに同意する旨の記載があります)。
これに対してCore Proでは、自動更新を無効化し、更新プログラムを受け取るタイミングをコントロールできる機能が備わっています。
それだけ? と思われるかもしれませんが、組み込み/IoT機器のOSとして採用することを考えた場合、更新プログラムによる機器への影響を事前に検証する猶予ができますので、不意の障害を回避できるという意味でも地味ですが重要な機能差分であるといえます。
Windows 10 IoT Coreを使ったプロジェクト事例
最後に、Windows 10 IoT Coreの活用事例として公開されているプロジェクトを紹介します(下記参考情報)。製品のプロトタイプ開発レベルの活用が中心ですが、これらの事例から、Windows 10 IoT Coreを使ってどのようなことが実現できるのかを把握できると思います。
今回は、Windows 10 IoT Core/Core Proを取り上げ、組み込み/IoT機器で活用するためのポイントや商用での利用について紹介してきました。IoTを構成する“デバイス”のOSを選定する上では、センサーやアクチュエータを制御するためのアプリケーションの開発生産性や、セキュリティ面の機能は重要なポイントになるかと思います。
次回はこれまで紹介してきたWindows 10 IoTの各エディションが、IoTを構成する“クラウド”側とどのように組み合わせて活用できるかといった観点で、Windows 10 IoTとAzure IoTの連携について解説します。(次回に続く)
著者紹介:
茂出木裕也(もできゆうや)
東京エレクトロン デバイス IoTカンパニー エンベデッドソリューション部 フィールドアプリケーションエンジニア/Microsoft MVP for Windows Development(Windows Embedded/IoT専門分野)
Microsoft Windows Embeddedパートナー(正規販売代理店)企業である同社のエンジニアとして、組み込み機器メーカーにWindows Embedded/IoTを活用した製品開発の提案や技術サポートに従事。各種イベントやセミナーではスピーカーを務める。Microsoft MVPアワードを4年連続で受賞。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
組み込み/IoT機器開発で使えるWindows
マイクロソフトの組み込み/IoT機器向けOS「Windows Embedded/IoT」の導入メリットとは? Windows Embedded/IoTの最新情報や活用ポイントを、他の組み込みOSとの違いを交えながら詳しく解説する。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
CAE解析をAIエージェントに任せてみた 人は何を担うのか
-
2
高度な半導体/電子デバイスの非破壊不良解析を支える「3D X線技術」に迫る
-
3
「ロボットアーキテクチャ」実態調査2026年版:現在の課題と優先事項を解説
-
4
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
5
スマート工場動向調査2026
-
6
【読者調査結果】製造業の脱炭素動向調査2026
-
7
「見て覚えろ」が通じない時代 製造業の保全技術はどのように継承すればよい?
-
8
SiC・GaN時代のパワー半導体開発、信頼性評価と故障解析の課題にどう対応する?
-
9
動き出したファナックの「フィジカルAI」
-
10
はじめての化学工学まとめ(Part1)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー