富士通 ものづくりAIフレームワーク
製造現場でのAI活用を支援するフレームワーク、WebAPIで既存システムへの組み込みも容易に
富士通は、同社の「ものづくり統合支援ソリューション」に設計・生産現場でAI技術を活用するためのコンサルティングサービスを追加し、2016年10月から提供を開始する。
富士通は2016年6月9日、同社の「ものづくり統合支援ソリューション」に、設計・生産現場でAI技術を活用するためのコンサルティングサービスを追加し、同年10月から提供を開始すると発表した。
AI技術を活用するには、過去の資産や現場で収集したビッグデータからノウハウや経験を抽出し、学習データベースに集約してモデル化することが不可欠である。しかし、製造業をはじめとするモノづくりの現場では、各種製品や、仕様検討・設計・検証・製造といった工程ごとの業務プロセスが存在し、それらのシーンごとに要求される高度な予測や判断処理を実現する標準的なモデルが存在しないため、その都度適合したモデルを構築する必要があった。
導入が困難だった製造業向けに最適化されたAIフレームワーク
こうした課題に対し、同社は独自のAI技術「Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」を実装し、学習データベースやAI処理エンジン、認証サーバなどから構成されるAI活用基盤「ものづくりAIフレームワーク」を開発。これにより、学習モデルを製品や業務プロセスごとに使い分けられるようにした。
ものづくりAIフレームワークの主な特長は4つある。1つ目は「利用シーンに応じた学習データベースの構築」だ。モノづくり現場での、各種製品や、仕様検討・設計・検証・製造などの業務プロセスごとに、それぞれ高い精度で予測や判断処理が行えるよう、利用シーンに応じた異なる学習データベースを個々に構築する。2つ目は、「世代管理機能により予測精度向上を実現」している点だ。学習データベースは製品の設計・生産の周期ごとに世代管理され、使えば使うほど継続した学習によって予測精度が向上する。そのため、開発中の新製品にもAIを適用でき、安定した運用が可能だという。3つ目はユーザー認証、通信の暗号化により学習データベースを保護する「強固なセキュリティ機能を搭載」している点である。そして、4つ目は「既存システムへの組み込みが容易に行える」ことが挙げられる。同フレームワークには、標準的なWebAPI群があらかじめ用意されており、既存システムとの連携を容易に実現する。
「ものづくりAIフレームワーク」の活用・実証例
続いて、ものづくりAIフレームワークの活用・実証例を紹介する。
電気系設計におけるプリント基板の設計支援(開発:富士通研究所)
AIを活用することにより、新製品の部品数や基板サイズなどの特徴を入力するだけで、学習データベースから必要なプリント基板の層数を予測。これにより、プリント基板の設計工程を約20%短縮できるという。
構造系設計における3Dモデルの類似部品検索(開発:Fujitsu Laboratories of Europe)
3Dモデルの類似部品検索では、例えば「ネジ」の3Dモデル検索において、従来の類似度算出の手法では検索精度が68%であったのに対し、AIを活用することで96%まで向上させることができたという。AIを活用した高速かつ高精度な類似部品検索は、過去の似た形状の部品を使っている設計データの流用や、障害時の原因となった部品の他製品への利用状況の検索など、さまざまなシーンで活用できるとしている。
生産ラインにおける画像認識プログラムの自動生成(開発:富士通研究所)。
生産ラインのカメラによる画像認識で部品の位置や姿勢を検出するプログラムにおいて、正解データを学習し、高い認識精度を実現するプログラムを自動生できるという。社内事例では、画像認識専門エンジニアがプログラムを開発した場合と比較し、プログラムの開発期間を10分の1に短縮し、画像の認識精度を97%まで向上させたとしている。
同社では、ものづくりAIフレームワークの提供と併せ、モノづくり現場でのAI導入を検討する顧客向けに、コンサルティングサービスも展開する。課題抽出、POC(概念実証)、データ選別、データチューニングによる継続的なAI強化などを行い、前例がなく導入が難しいモノづくり現場でのAI活用を支援するとしている。
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