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Armの“後払い”ライセンスに見え隠れするRISC-Vの興隆大原雄介のエレ・組み込みプレイバック(1/2 ページ)

エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今回は、2019年7月の業界動向の振り返りとして、Armが発表した新しいライセンス形態「Arm Flexible Access」とその背景を考察する。

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 2019年7月は米中貿易摩擦に絡んだHuaweiの動向に加え、日韓関係悪化やホワイトリスト国除外に絡んでSamsung/SK Hynixの動向がいろいろ話題になっており、これに加えてメモリの売れ行きが落ちたことなどが大きく取り沙汰された。ただこれは既にニュースで挙がっている話なので、ちょっと毛色を変えてArmの新しいライセンス形態の話をしたいと思う。

 2019年7月16日、Armは新しいライセンス形態として「Arm Flexible Access」を発表した。このFlexible Access、端的に言えば「後払い」のライセンス形態である。通常、自分でASICを開発するために外部のIPを購入したいと考えた場合、まずはそのIPのライセンスを購入することになる。するとRTLの形でIPが提供されるので、まずはFPGAに入れて評価するなり、直接ASICの試作に入るなりという事になる。これはまあ一般的な手順である。

 IPベンダーの中には、評価用に一定期間(長くても90日程度)は無料で利用可能な制限を付けたIPを提供してくれるところもある。ペリフェラルとか小さなアクセラレータ程度なら(FPGAなどを使って)これで評価もできるかもしれないが、Processor IPとなると半年〜1年近くの期間を評価に要する場合もあるのでこの手は使えない。だからといって、評価用に無償で提供したら、そのまま量産に入られてしまった、なんてケースも実際にあるだけに、IPベンダーとしては無償での提供は二の足を踏むのも無理ない所だ。

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