大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Microsoftに買収されたExpress Logicとは(2/2 ページ)
対応プラットフォームも異様に多い。全てが全て最新バージョンで対応という訳ではないのだが、
ARM:ARM7,ARM9,ARM11,Cortex-M,Cortex-R,Cortex-A(32/64bit),TrustZone ARMv8-M
AndesCore:RISC-V
Analog Devices:Blackfin BF5xx/BF6xx/BF7xx,SHARC,CM4xx
Ambiqmicro:Apollo MCUs
Cadence:Xtensa Diamond
CEVA:TeakLite-III
Cypress:PSoC,PSoC 4,PSoC 5,PSoC 6,FM0+,FM3,FM4,WICED WiFi
EnSilica:eSi-RISC
Infineon:XMC1000,XMC4000,TriCore
Intel&Intel FPGA:Cyclone SOC, Arria 10 SOC,NIOS II,x86PM
Microchip:SAMxx,AVR32,PIC24,PIC32
Microsemi:RISC-V
NXP:LPC,i.MX,Kinetis,68K,Coldfire,PowerPC
Renesas:Synergy,RZ,H8/300H,RX,SH,V850
Silicon Labs:EFM32
ST:STM32
Synopsys:ARC 600/700,ARC EM,ARC HS
TI:Tiva-C,Sitara,OMAP,C5xx/C6xx
Wave Computing:MIPS32 4Kx/24Kx/34Kx/1004K,microAptiv,interAptiv,proAptiv,M-Class
Xilinx:Zynq,Zynq UltraSCALE,MicroBlaze,PowerPC
とまぁ豪華なラインアップである。
さて、こうした高機能かつ豪華な製品ラインアップと、60億台をこえるInstall base(と、それを出荷した顧客)こそが、Microsoftが欲して止まず、けれどもこれまで手に入れられなかったマーケットである。古くはWindows CEとかWindows Embedded、最近ならWindows 10 IoT Coreなど組み込み向け軽量のOSを提供してきたMicrosoftだが、それは「PCを基準にすれば」軽量という話であって、組み込み向けとしてはかなり重いものであった。そもそもWindows 10 IoT Coreにしても、最低でもRaspberry Pi以上で、それですらOSが動いて終わりというレベルであり、実用的なものを作ろうとするとどうしてもPCクラスの組み込み機器になってしまう。100億台から500億台まで幅はあるが、今後急速に普及するIoT機器の大半はMCUレベルのもので、Microsoftの既存のOSではそこに対応したソリューションを提供できないのが現状である。
そしてこれまたご存じの通り、今は同社はIoTに関してはAzule IoTを前面に打ち出している。つまりWindows 10 IoT Coreを買ってもらうのではなく、Azule IoTを使ってもらうのがMicrosoftのビジネスの主眼であり、逆に言えばAzule IoTをMCUからバンバン使ってもらうための決め手に欠けていたのがこれまでの状況だった。
そう考えるとMicrosoftサイドからの今回の買収の動機は極めて明白である。MCUからAzule IoTにアクセスできる(あるいはAzule IoTからMCUにアクセスできる)ための手段、それとこの分野に長けた顧客、ついでにRTOSに習熟した開発者という3つを同時に入手できるからだ。当面は既存の顧客の事もあるから、外から見たExpress Logicの体制に変更はないし、製品ラインアップにも変更はないだろう。ただ来年あたりAZULEXとかのモジュールが追加されていても不思議ではないし、実際そういう方向に行かなければ買収の意味がないだろう。
いまひとつ読めないのがExpress Logic側の意向である。Express Logicは非上場会社で(だからこそ、4月18日に即時買収が完了した)あり、財務状況などは公開されていないので、実は財務的に厳しかったとか、今後の開発の中でより資金が必要になった(ただこれは他にも方法はありそうだが)とかの可能性もある。が、筆者的にはLamie氏が次の事をするべく会社を売っぱらったのでは? という疑念が消えない。プレスリリースを見ると
Today, we are very excited to share that Express Logic has been acquired by Microsoft. Effective immediately, our ThreadX RTOS and supporting software technology, as well as our talented engineering staff join Microsoft.
とあり、スタッフは間違いなくMicrosoftに移動するが、自身がどうするかについては一切言及がない。AmazonによるFreeRTOSの買収の際には、FreeRTOSのCEOであり、FreeRTOSの作者でもあったRichard Barry氏がそのままAWSのチームに移籍しているが、何となく今回は違う様に思われる。その「次の事」が、第4のRTOSを作るという話であれば、これはこれで夢がある話なのだが。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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