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dynabookユーザーから東芝への私信:企業動向を振り返る 2018年5月版
東芝の稼ぎ頭であるメモリ事業の売却が完了し、メモリ事業(東芝メモリ)は連結対象から外れることになりました。東芝が何を強みとするか具体的な数字や姿はまだ見えませんが、dynabookユーザーとしては現状が「産みの苦しみ」であると信じたい気持ちです。
日付としては2018年6月1日となりますが、ついに東芝メモリの株式が売却され、東芝の稼ぎ頭となっていたメモリ事業(東芝メモリ)は連結対象から外れることになりました。東芝が2018年5月15日に発表した決算は黒字であり、その大きなけん引役となっていたのが、連結から外れたメモリ事業です。
発表された決算によればメモリ事業を含むストレージ&デバイスソリューション部門の売上高は2兆64億円(前年比18.0%増)、営業利益は5196億円(前年比210%増)であり、そのうちメモリ事業は売上高1兆2049億円(前年比34.3%増)、営業利益は4791億円(前年比257%増)であり、東芝全体の収益に大きく貢献していたことが分かります。
エンタープライズ向けサーバやデータセンター向けのメモリ需要は引き続き好調であると予測されており、東芝メモリは2018年5月22日に、これまで未定としていた岩手県北上市の新製造拠点の建設を「2018年7月着工」と発表しています。新拠点ではAIを活用した製造システムの導入などで生産性を高めるとしており、東芝メモリの見通しは明るいと言えましょう。
ですが、メモリ事業を切り離した東芝は何を「強み」とするのでしょうか。
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