フレキシブル有機プリンテッドエレクトロニクスの市場規模は2030年に2.6倍へ:富士キメラ総研
富士キメラ総研は、次世代エレクトロニクスとして注目されるフレキシブル、有機、プリンテッドエレクトロニクス関連の世界市場を調査した結果を発表した。2030年の市場規模は2017年比で2.6倍になると予測する。
富士キメラ総研は2018年2月5日、次世代エレクトロニクスとして注目されるフレキシブル、有機、プリンテッドエレクトロニクス関連の世界市場を調査し、その結果を発表した。中小型AMOLED(アクティブマトリックス式有機EL)が拡大をけん引し、2030年の市場規模は2017年比で2.6倍になると予測している。
同調査では、フレキシブル、有機、プリンテッドエレクトロニクス関連製品18品目、プリンテッドエレクトロニクス関連材料11品目、有機EL関連材料5品目、基板3品目、印刷装置5品目を対象として現状を調査し、将来を予想した。
調査結果によると、これら市場の2017年の市場規模は3兆3500億円と見込まれる。中小型AMOLEDの構成比が60%弱を占め、これは2030年でもほぼ同程度で、市場への影響が大きいとみている。また大型AMOLEDやタッチセンサーも規模が大きい。今後は、有機EL照明や導電性テキスタイルなどが伸びると予想。2030年の市場は8兆8600億円になると予測している。
フィルム、紙、繊維などのフレキシブルな材料を用いるフレキシブルエレクトロニクスは、採用率は2017年の56.4%から2030年には67.5%に増えると予測。RFID、有機メモリなどは全量がフレキシブル製品となっている。2030年には中小型AMOLEDの86.4%がフレキシブル化、また電子ペーパーは48.3%、有機EL照明も96.7%とフレキシブル採用が進むと予測する。
塗布・印刷技術を適用したプリンテッドエレクトロニクスでは、採用率は2017年の14.6%から2030年には20.5%に増えると予測。有機メモリ、有機イメージセンサーシートなどは全量がプリンテッド採用製品となっている。中小型AMOLEDのプリンテッド採用率が低いため採用は全体的に低率にとどまり、今後も全体の伸びを押し下げる。将来的にはセンサーデバイス、太陽電池などが伸びて採用率が上昇する。
注目用途分野としては、ウェアラブル/ヘルスケア分野の機器や、流通・小売分野の高機能タグや在庫管理ツールなどの採用が増える見込み。ウェアラブル/ヘルスケア分野は、2017年の市場規模576億円に対して2030年は2550億円を予測。今後、肌に貼るタイプなどの生体電位センサーや、導電性テキスタイルなどが伸びるという。
流通・小売分野では2017年の市場規模806億円に対し2030年予測は1500億円。タグの高機能化手段としての有機メモリや、圧力センサーシートの伸びを見込む。また、自動車分野では、2017年の市場規模91億円に対し2030年予測は4340億円と大幅増。今後、着座センサーなどの圧力検知に使用される圧力センサーシートなどの伸びが注目される。
関連材料の世界市場では、現状は3Dプリンタ用造形材料、蒸着型有機EL発光材料、円偏光板などの構成比が大きい。今後、中小型AMOLEDや、フレキシブルガラスが伸び、将来的には、印刷材料として導電性ナノインクや有機半導体材料などの伸びが予想されるとしている。
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