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シノプシス、性能重視の新ARCプロセッサシノプシス DesignWare ARC HS4x

シノプシスが、組み込み向けプロセッサの新ファミリーを発表した。処理性能を重視した製品だが「性能の向上ばかりを重視するわけではなく、組み込み機器に求められている機能をきちんと備えているかの方が重要」だと強調する。

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 シノプシスは2017年5月23日(米国時間)、組み込み機器向けの32ビットRISCプロセッサ「DesignWare ARC HS4x」「DesignWare ARC HS4xD」(以下、HS4x)を発表した。「DesignWare」はシノプシスが手掛けるIP(Intellectual Property)製品のブランド名だ。今回発表した新製品は、CPUコアのIPになる。


 新ファミリーには、「HS44/HS46/HS48/HS45D/HS47D」の5つがある。それぞれシングル、デュアル、クアッドコアの構成が可能で、1コア当たり6000DMIPSの命令実行ができるDual-issueスーパースカラーのアーキテクチャを搭載している。ARCプロセッサとして、同アーキテクチャを搭載するのは初めてとなる。これにより、前世代品の「DesignWare ARC HS3x」ファミリーに比べてRISC性能が25%向上した。

「DesignWare ARC HS4x」「DesignWare ARC HS4xD」のブロック図
「DesignWare ARC HS4x」「DesignWare ARC HS4xD」のブロック図

 HS44/HS46/HS48の3つは、「ARCv2 インストラクション・セット・アーキテクチャ(ISA)」に基づいて開発されたもので、消費電力とシリコン面積を抑えられることが特長だ。16nm FinFETプロセスを適用した場合、シリコン面積はわずか0.06mm2で、消費電力は37mW/MHzとなっている。HS46とHS48は、最大64KBの命令キャッシュとデータキャッシュとフルL1キャッシュ・コヒーレンシをサポートするMMU(メモリ管理ユニット)を搭載。HS48は、最大8MBのL2キャッシュと、対称型マルチプロセッシング(SMP)LinuxをサポートできるMMUも搭載している。

 HS45DとHS47Dは、HS4xと同等の制御機能に加えて、ベースバンド、オーディオ、音声、その他信号処理アプリケーションに向けたDSP機能を提供する。整数除算器、64ビット乗算命令、ベクター加算および減算、IEEE 754準拠の浮動小数点ユニットを実装するといったオプションを使って、演算スピードを向上できる。

「性能だけで競争しない」

 HS4xとHS4xDは、ワイヤレスベースバンド、ホームネットワーク、車載制御およびインフォテインメントシステム、産業機器、ホームオートメーション、SSDといった幅広い組み込みアプリケーションに向ける。

シノプシスのARC Processors & Subsystems Solutions Groupでプロダクトマーケティングのシニアマネジャーを務めるMichael Thompson氏は、「われわれは、スマートフォンやサーバなどの分野は狙わない。ターゲット市場はあくまでも組み込み機器だ。そのため、処理性能だけで競合他社と競争しようとは思っていない。それよりも、高性能な組み込み機器を実現するために必要な機能を備えていることの方が重要だ。HS4xとHS4xDは性能を重視したファミリーだが、それは、われわれが対象としてきた組み込み機器で求められる処理性能が、格段に上がってきたからだ」と強調した。

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