ご存じの通り、製品設計・開発の現場において「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」を活用しようという動きが活発化しつつあります。おそらく、その多くが製品の品質向上や生産性向上といった“さらなる改善”に向けた取り組みからくるものではないでしょうか。
しかし、IoTの利活用によるメリットはそれ以外にもあります。例えばIoTと、AI(人工知能)やVR(仮想現実)/AR(拡張現実)といったデジタル技術を掛け合わせることにより、作業者の健康管理や安全対策、生産設備の予兆保全、ベテラン技術者のノウハウ継承、アフターサービスの支援、設計レビューの効率化といったさまざまなメリットも享受できます。
こうしたIoTのメリットを生み出す源泉が「データ」です。
IoTにおけるデータというと、センサーデバイスから収集した測定値、機器や装置が吐き出すログデータなどがイメージとして頭に浮かびます。しかし、それだけではありません。一般的な製品設計・開発の現場であれば、製品の企画書、製品のデザインスケッチ、仕様書、形状を決める3Dデータ、図面(2Dデータ)、BOM(部品表)、ソフトウェアのソースコード、検証・テスト結果といった無数のデータが存在し、それらもIoTのメリットを生み出す源泉となり得るのです。
PLMなくしてIoTの真の価値は引き出せない?
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