従業員22人が送り出す4000万円のEVスーパーカー、視線の先はTeslaではなくUber:GLM G4
EVスポーツカー「トミーカイラZZ」を送り出したGLMが新型車の生産計画を発表した。従業員22人の小さな自動車メーカーが送り出す新車は4000万円の国産EVスーパーカー。その先には新たな自動車ビジネスの創出を見据える。
従業員22人の小さな自動車メーカーが「新たな自動車ビジネス」の創出に挑む。電気自動車(EV)ベンチャーのGLMは2017年4月18日、「パリモーターショー2016」で披露した次世代EVスポーツカー「GLM G4」の生産計画を発表した。
GLM G4は「RoadYacha(ロードヨット)」をコンセプトにした、クーペスタイルのグランドツアラー。搭載するモーターによって0-100km/h加速3.7秒、最高速度時速250kmの走行性能を発揮し、航続距離は400km(NEDC)となる。2019年の量産開始を予定しており、想定価格は4000万円。国内外で1000台の販売を目指す。
GLM G4は現在量産中のEVスポーツカー「トミーカイラZZ」に次ぐモデルとして投入される。トミーカイラZZは運転することの楽しさを追求したモデル「大地を感じて走る、ワクワク感を再定義した車」(GLM 代表取締役社長 小間裕康氏)として計画されたが、GLM G4は「カイラとは別のワクワク感を目指し、細部まで追求したスーパーカー。ぜいたくで快適、次世代のラグジュアリーカー」であり、「荒々しくも、優雅」(いずれも小間氏)として登場する。
量産開始前のため搭載する部品などの詳細は明らかにされていないが、パワートレインについては安川電機との共同開発が発表されており、GLM G4ではこうして開発された専用モーターを車両前後に2基搭載。最高出力は400kW(540馬力)、最大トルク1000Nmを発揮する。「和製テスラ」と評されることも多いGLMだが、取締役の田中智久氏は「いうならばEVフェラーリ”のような高付加価値型を目指したい」と自社の方向性を語る。
自動車の電化は大きな潮流となって自動車業界に影響を与え続けているが、現在多く行われている電化の取り組みは、排ガスの減少や燃費向上といった環境性能の向上を目指したものといえる。その中でテスラのModel SやトミーカイラZZなど、モーター駆動であることのメリットを前面に押し出した車はまだまだ少数である。
販売価格や環境性能などをトータルで考えた際、電化の現時点での最適解はガソリンエンジンをメインにモーターを組み合わせたハイブリッド(HV)なのかもしれないが、あえて小間氏はEVの第2弾としてクーペスタイルのグランドツアラーという更に狭い道を選んだ。GLMというベンチャー企業はどのように進むのか。GLM G4は高付加価値型EVカーという1つの回答だが、小間氏は「自分たちの理想の車を作る」のその先を見据えた展開を脳裏に描いている。
EV開発の企業から、EV技術提供の企業へ、そしてその次へ
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