RTOS「eMCOS」にPOSIX仕様準拠のプロファイル:イーソル eMCOS POSIX
イーソルがRTOS「eMCOS」のPOSIX仕様準拠プロファイル「eMCOS POSIX」を追加した。ROSやAutowareといったOSSの資産を組み込みシステムで広く容易に活用できる。
イーソルは2017年3月14日、分散型マイクロカーネルアーキテクチャを採用したリアルタイムOS「eMCOS」のPOSIX仕様準拠プロファイル「eMCOS POSIX」を発表した。POSIX 1003.13 PSE 53に準拠しており、マルチプロセス/マルチスレッド、ローダブルプロセス、共有ライブラリを完全サポートする。
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POSIX(Portable Operating System Interface)はUNIX系OSの標準インタフェースとして規定されたもので、同仕様向けに開発されたソフトウェアを少ない労力で移植できる。サーバ側の技術として発展してきたが、組み込みシステム向け機能も多く実装されており、組み込みシステムとしてはOSがPOSIX仕様に準拠することで「ROS(Robot Operating System)」や「Autoware」といったオープンソースソフトウェア(OSS)を含む、Linuxのソフトウェア資産とエンジニアリソースの活用を容易にするという効果が期待できる。
eMCOSは組み込みシステム向けメニーコアプロセッサ対応OSとして提供されており、eMCOS POSIXに加え、AUTOSAR仕様準拠プロファイル「eMCOS AUTOSAR」をはじめとする各種プロファイルで構成されている。つまり、システムの需要に応じてプロファイルを選択し、POSIXアプリケーションとAUTOSARアプリケーションを別プロセッサで動作させる分散システムの構築も容易に行える。
プロセッサとしては組み込みシステムで多く使われるARMプロセッサはもちろん、ルネサス エレクトロニクスのRH850シリーズやKalrayのMPPAR-256に対応しており、今後も対応プロセッサは追加される予定となってる。なお開発に関しては同社の開発スイート「eBinder」やモデルベース並列化ツール「eSOL MBP」が利用可能である。
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