産業機器にLinuxの風、なぜルネサスがLinuxを「推す」のか:ルネサス 産業向けルネサスマーケットプレイス(1/3 ページ)
マイコン性能が向上し、生産機器の「つながる化」が求められている中、産業機器へのLinux搭載が脚光を浴びている。ルネサスは対応チップ提供のみならず、マケプレの開設で産業機器へのLinux搭載を“推し”ていく。
組み込み機器や産業機器をどう「動かす」か。どのような部品を搭載し、どのような機器を対象とするかで議論のポイントは大きく変わるが、「リソースの限られるマイコンを搭載したスタンドアロンに近い製品であればRTOS」「リッチなUIやネットワーク接続が必要な製品であれば組み込みLinuxやWindows Embeddedなどの組み込みOS」を搭載して動かすという回答が一般的と呼べただろう。
あえて「だろう」と過去形で表現したのにはいくつか理由がある。1つはマイコンであっても処理能力向上が進み、組み込みLinuxのような(RTOSより重い)OSの駆動に十分なパフォーマンスを持つに至っているという部品レベルの進化。もう1つは製造装置などこれまでならばRTOSが選択されていた領域の機器についてもIoTやインダストリー4.0といった要素への対応でネットワーク化やグラフィカルな操作UIが求められているという市場からの要求だ。
こうした流れはここ数年で特に顕著となっており、その結果、これまで「ハードウェアリソースを要求する」「リアルタイム性に欠ける」「起動時間が長い」「電源断への対応が未成熟」などの理由で、一部の組み込み機器や産業機器では敬遠されることもあったLinuxが脚光を浴びている。
このLinux搭載というムーブメントの中で興味深いのは、以前から組み込みLinuxを手掛けるソフトウェア関連企業や搭載製品を開発するメーカー以外のプレイヤーも参加していることだ。その最たるものが半導体ベンダーのルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)だろう。
ルネサスはマイコンに強みを持つ半導体ベンダーだが、2016年秋には組み込み機器向けプロセッサ「RZ/G」と動作検証済みLinuxおよびミドルウェアなどを組み合わせた「RZ/G Linuxプラットフォーム」の提供を開始。さらには、周辺情報やサードパーティーによる認証済みソフトを提供するマーケットプレースも2017年春に開設するなど、積極的にLinuxを“推して”いる。
なぜマイコンベンダーがLinuxを“推す”のか
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