ECU開発期間を短縮する自動運転プラットフォーム:ルネサス HADプラットフォーム
ルネサス エレクトロニクスとTTTech Computertechnikは共同で、車載制御ユニット(ECU)のプロトタイプ開発期間を短縮する「HADプラットフォーム」を開発した。
実車でプロトタイプECUの開発評価が可能
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2017年1月、オーストリアのTTTech Computertechnik(以下、TTTech)と共同で、車載制御ユニット(ECU)のプロトタイプ開発期間を短縮する「HAD(Highly Automated Driving:高度自動運転)プラットフォーム」を開発したと発表した。2016年10月に発表した「HADソリューションキット」を拡張したもので、ISO26262で定義されるASIL Dへの対応を想定している。
同プラットフォームは、ルネサスの車載用SoC「R-Car H3」と車載制御用マイコン「RH850/P1H-C」を搭載したハードウェアキットに、TTTechのADAS(先進運転支援システム)向けソフトウェアプラットフォーム「TTIntegration」を組み合わせた。
R-Car H3は自動車用安全度水準のASIL Bに、RH850/P1H-CはASIL Dに対応。プラットフォームの筐体には、放熱と振動対策が施されたアルミニウムを採用している。動作温度範囲は−40〜85℃で、車載向け電源も直接接続できる。これらの機能により、実車でプロトタイプECUの開発評価ができるため、自動運転向けECUの早期開発に対応する。
またTTIntegrationは、複数の制御用マイコンやSoC上で複数のソフトウェアを統合できる。PCのシミュレーションツール環境を使用してHADプラットフォームとPC間でのデータ共有も可能で、ECUを複数のチームで並行開発する環境を構築可能とした。同プラットフォームの価格と販売時期は未定だが、TTTechが販売を予定している。
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